〜if〜
□進撃の巨人
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巨人を倒し始めて早三年。
やっと実践に行けたと思えば、私はすぐさま「人類最強」と呼ばれているリヴァイ兵長の班に飛ばされた。
飛ばされたと言えば聞こえは悪いが、私からすれば願っても見ない事である。
「人類最強」と共に戦える上に、エレンと言う巨人とも接触でき、私の恩師であるハンジさんにも情報を得やすくなる。
この移動はチャンスであり、私にとってはとてもお得な話だ。
で、
新規で入隊したのはいいけれど・・・ここ二ヶ月くらいでこの隊のイメージと、私の計画は見事に崩れ去って逝ったのである。
理由は二つ。
えれんとはろくに接触できない上にもっとしっかりした班かと思えば、実は結構ホッコリ系の班だった。
全くの予想外である。
そんなある日の事だ。
「あ、ハンジさん!」
「お、新人!久しいね〜。でも、今取り込み中だから後にしてくれる?」
「何してるんですか?此処はリヴァイ兵長さんのお部屋ですよね・・・?」
「そうだけど?」
「・・・覗き・・・ですか。」
「せいか〜い♪今とってもいい眺めなんだよ〜」
「悪趣味ですよハンジさん!!そんな事止めて私とお話しましょうよ!!」
「え〜いいじゃな〜いちょっとぐらい☆」
「前もそうやって言って、結局リヴァイ兵長に見つかって怒られたじゃないですか!!」
「あれはあれ、これはこれ、だよ☆」
「だよ☆、じゃないですよ〜知りませんよ?みつかってもぅ!!」
「まぁまぁ、」
私はハンジさんを止める事ができない上に、気になった、と言う私情で一緒に覗いてしまった。
そっとドアから覗いた部屋の奥の後景に、私は一瞬驚いたが、なんとなく顔がほころんだ。
そこには、ソファーで座って寝ているリヴァイ兵長と、珍しく熟睡しているエレンの姿があった。
リヴァイ兵長の膝に頭を落とすエレンは、とても幸せそうだった。
いつものように唸りや、寝言を言う事も無く。ただすやすやと寝息だけをさせていた。
逆に、リヴァイ兵長の方はいつもと変わらず、眉間に皺を寄せて腕を組んで目を閉じていた。
私は呟いた。
「とても幸せそう」
ハンジさんは横目で私を見て、補足でもするように言った。
「エレンは十五歳で背負いきれないもの背負って今を生きてる」
「・・・はい」
「リヴァイだって、この数十年間、命を背負って生きてきた」
「・・・はい。」
「あの二人は普段休む暇なんて無い。休日なんてもっての他だし、休憩中だって仕事してる」
「・・・」
「でも、それでも頑張れるのは、ただ巨人を一掃したいが為だけじゃないとおもうんだよね〜」
「・・・はい・・・」
「だから、私等はあの2人がちょっとでもああやって過ごせる様に努力できればいいかなって・・・私はそう思ってる」
「・・・は、はい・・・!」
ハンジさんは笑って私の頬を撫でた。
「泣くなよ新人!私達は絶対生き残るから」
「ぁ、・・ぁい!!」
ハンジさんは扉をそっと閉めた。
私は涙を拭って、ハンジさんに言った。
「なら早速仕事して彼等の負担をなくしに行きましょう!!」
「若いね〜・・・ま、今回は付き合おう!!」
私とハンジさんはその場を離れた。
END