-BL編-


□卑怯者
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[―――――チュッ]
小さくリップ音が響く。

「…ぇ」
「涙、止まったか?」
「はい?え?」

急にオロオロしだす財前に、ユウジは笑い出した。

「っはは、額だけでそないなるんかいな。ほんまは唇がよかったんやけど―――――」

財前にちらっとアイコンタクトをすると、瞬時に頬を染め視線をそらす。

「それはOKサインでエエんかな?」

メニュー表を取りながら、口の端だけで笑う。

「ぅ…ぁ…」
「日本語やないと、通じないで?」

外から見えないようにメニュー表を立て、そっと頬に唇を寄せた。

「さあ、どうする?」

試合用に習得した、妖艶smile。
外で使う前にここで使うとはな、ははっ。
俺、小賢しいわ。

「お、れは…」
「ん?」
「ユウジさんが、好き…かもしれへん」
「よう言えたな」

また溢れてきた涙を止めるように、そっと唇を重ねた。
唇を離したとたん、カップを飲み干す財前。

「冷たっ」
「ははっ、冷めてもうたな…けど、」


――――――今の俺らには、ちょうどええんとちゃう?
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