-BL編-
□らしくない
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部室に、弦一郎と二人、残される。
「…弦一郎」
「どうした、柳」
「………聞いて欲しい頼みがある」
柄でないのはわかるが…こんなこと、してもよいのだろうか…
書き終えた部誌を音を立てずに閉じる。
「そのまま聞いてくれ」
弦一郎は着替えの途中で、上半身裸だ。
俺は明後日の方向を向いて、口を開いた。
「俺は、どうにも気にくわないらしい」
「なにがだ?」
淡々と言葉を紡ぎながら、己のネクタイをほどき、シャツのボタンに手をかける。
「弦一郎に、近づく者が居ることが、だ」
「俺に近づく者?」
ボタンを外し腕を下げれば、シャツがするりと落ちた。
「この感情は、なかなか分析がうまくいかなくてな」
そんなことを言いながら、弦一郎をロッカーと腕で閉じ込める。
もちろん、ロッカーに弦一郎の背が預けられることはない。
「どうしたらよいか、わからなくなる」
顔をまともに見ることができない。いつもの俺ならあり得ないことだ。