-BL編-


□甘えた。
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しばらくすると、目は閉じたままになり、静かな寝息が聞こえてきた。
邪魔だろうと思い、眼鏡を外してみた。普段見えない素顔に、少しだけ好奇心がわく。
目、開かねぇかな…。

「…忍足」
「ん…」

名前を呼んでも返事はなく、少し身動ぎしただけだった。

不意に悪戯心がわいた。
ちょっとからかってやろうと、耳に唇を寄せた。

「忍足」
「んぅ…」
「忍足…」
「っん、なん?」
「…忍足」
「んぁ…ぁ、けーちゃん?」
「目は覚めたか?」
「ん…覚めたけど…けーちゃんのせいで要らんところまで起きてもうたわ」
「…下世話な話だな。抜いてやろうか?」
「や、別にほっとけばエエわ。で、なんで起こしたん?」
「や、風呂、はいんねぇ?客人来てんのに先に入るわけにいかねぇし」
「今日も一緒にはいろやぁ」
「ん、わかった。着替えとか持ってくから先行ってろ」
「はぁーい」

…はぁ。でかい子供だな、まるで。
それでも嫌いになれないのは、やっぱりヤツのことが―――






―――好きだからか。
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