-警報編-

□繰リ返ス
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暇をもて余した廃人は、ろくでもないことしかしない。

「あーあ、また派手にやったね…うるさい、黙れ…バカだなぁ、意味ないってわかってんだろ?…うるさい、黙れ!」

ひとつの口から、色々な声や口調が飛び出す。

「…落ち着け。」

そこに響く、凛とした声。

「柳…」
「腕を出せ。とりあえず止血だ。」

腕を出す前に奪われ、椅子に座らされる。手際よい処置をうけ、包帯の巻かれた腕。赤く染まってはいかない。

「大方慣れたものだろう。俺も、お前もな。」
「お褒めいただきどーも。」
「皮肉なものだ。」
「そーね。」

赤く汚れた部屋に、二人で座り込む。乾いたそれが服を汚すことはない。

「いつまで続くんだ?」
「さーね。あの子に聞いてよ。私じゃない。」
「そうだったな。」
「…よんだ?」

声色も表情も、豹変する。

「呼んではいないが、話はある。もう、やめてくれ。頼む。」
「うん、やめようとしてるんだ。やめようやめようって思ってたら、また真っ白になっちゃうの…」

真っ白。いわゆる解離状態。本能のままに体は動くが、意識は理性のなかで、窓から外を眺めている気分になっていると言っている。

「そうか。」
「うん…ごめんね?柳にとって、この子、大事なんだよね?ごめんね?」
「気にするなと言いたいが、是非ともやめてくれ。」
「頑張るから…嫌わないで?」
「ああ。嫌いではない。」
「よかった…帰るね?ばいばい。…あ、帰った?」

フラりと、帰ってきた。その姿に、柳の顔は安堵と不安が入り交じったように歪む。



これを、何度繰り返しただろう。

いつもいつも、終わらない。変わらない。

いったい、いつ終わるのだろう。

いや、終わらないかもしれない。

それでも、繰り返す。

諦めたら、止まってしまうから。

すべてが、止まってしまうから。

その前に…



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柳さんは、彼女を救えるのでしょうか。

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