-BL編-


□とどかない
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手紙1

謙也、仕事忙しかったら別にええねんけどな、一回会いにきて欲しいんや。

俺なー、もう長くないんやて。

これ届くん、いつやろな。

病室から出してもらえんねん。

なんや、奇病やて。

熱出るし、体だるいし。

耳も目も、だんだん悪なってくわ。

今はまだ起きてられんのやけどな、もうしばらくしたら座る事もできひんようになるんやて。

俺…悪いことしたんかな…

神様は俺んこと嫌いなんやな。

ま、そんなんどーでもええねん。

どうしても、お前に言いたいことあんねん。




手紙2

これがお前んとこにあるっちゅーことは、俺死んだか。

お前に言えたか?

言えてたらええなー。

何をて?

聞いてへんならええねん。気にしなや。

あーあ、死んでもーたわ。

おもんない人生ってわけちゃうけどな、報われない人生やったわー。

…嘘や。

あんとき、みんなでテニスしとる頃が、一番楽しかったなー。

今だに写真かざっとんのや。

どや、一途やろ?

お前にな、もう一つ頼みがあんねん。

俺んこと、忘れんといてくれんか?

あー…お前にだけは、忘れられたくないんや。

親友としてやで?

…頼むわ。

あとな、この後の手紙、これ渡したやつに見せや。

どーせ宿も取らんと飛んできてくれたんやろ?

少しなら、面倒見てくれるで。

あ、ちゃうならええねんで。




輪廻転生を信じるなら、またみんなでテニスしたいなぁ…。

ほなな。
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