リク応答

□距離感
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りことは生まれた頃から一緒にいるから、ほぼ兄弟みたいなもんだ。…と思う。
小さいときはいつも一緒に居たし、風呂も入ったし同じ布団でも寝た。幼稚園の送り迎えも学校行事も家族ぐるみで一緒で、家族同然だった。
それを今さら疑問に思うことも、どうこうしようとも思わない。
…だけど、だけどさぁ……

「やっべ、課題プリント忘れてきた!」
「…はぁ、ほんと丸井はしょうがないな。遅刻にはしないから取っておいで」
「サンキュー幸村くん!すぐ戻るぜぃ」

部室を飛び出し、教室へと走った。
無事プリントを見つけ、戻ろうと教室を出ると、りこの教室から聞きなれた声が響いてきた。

『――で、話って?』
「あ、あのさ…高梨さんって、付き合ってる人とかいんの?」
『えー?いないよ?』

この声…木村とりこか。ってこれ立ち聞き!やば…しかもこれコクる感じじゃん。
早く行かなければと焦るのに、足は動いてくれない。廊下の、そのドアの手前で、ただ立ち尽くす。

「じゃあ、さ…俺と、付き合ってくれないかな。俺、高梨さんのこと、好きなんだ」

…あ。だめだ、これ以上は聞いちゃいけねぇ…なのに、それなのに…足が…。

『あー…ごめんね。付き合ってる人はいないんだけど、好きな人はいるんだ。他の人を想うのに付き合うなんて軽い真似できないや。嬉しいけど、ごめん』

………親友がフラれたのに、一個も悲しくないなんて俺ダメだな。なんでだ?

「その、好きな人、聞かせてくれねぇかな。俺…諦めきれねぇんだ」

木村、男らしいな。
…ん?ここにいたら本格的にまずくないか?りこの好きな人聞いちゃうじゃんか。

『…絶対内緒ね。あのね、――――』

気がついたら、走ってた。聞き取れなかった。たぶん、これって…りこのことが、好きってこと?

―――

その後の教室。

「今、誰かいた?」
『うん。聞かれてないといいな…』
「…なんか、ごめんな」
『ううん、気にしないで。いつか言うつもりだから』
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