置き場

□仁王と柳生と。
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月に一度、あるかないかの休講日。
いつも通りの時間に起き、時間をもて余す嵯峨野。

「今日は一日休講なんだよねー。なにしよっかなー」
「おや、今日はお暇のようですね。どうですか、一緒に出掛けませんか?」

いつのまにか後ろにいた柳生から、ニコリとお誘い。

「あ、比呂士くん!講義ないの?」
「ええ、今日は私も休講なんです。なんでも、先生が出張だとか」
「へぇ。大変だね、先生も。出掛けよっか。あ、雅治くんは?」
「起きとるぜよ…おはよーさん…」

寝間着のまま、めんどくさそうに洗面所に向かう仁王。

「…ちょ、比呂士くん!変装失敗してるし!!雅治くんは眼鏡かけてないよ!!」

仁王は顔に手をあて、ふと眼鏡を外した。

「…あ」
「やーぎゅ…寝ぼけとる場合じゃないぜよ…」

柳生が、仁王に向かってため息をつく。いや、仁王が柳生に向かって、だ。

「すみません、私としたことが」
「別に俺は構わんぜよ…プリッ」
「比呂士くんでも寝ぼけたりするんだねー。それにしても、なんで寝起きから入れ替わってるの?」
「意味はないぜよ」
「仁王くんが言い出したんですよ。入れ替わって、暁さんを驚かせたいって」
「やーぎゅ…」
「うん、十分驚いたよ、寝ぼけた比呂士くんにね」
「ぷぷっ」
「そ、それは忘れてください!」

わたわたする柳生と、飄々とした仁王。対照的な二人に、嵯峨野はふふっと笑う。

「あ、雅治くんは休講日?」
「おう。どっか遊びに行くナリ」
「では、私が車を出しましょうか?仁王くんには任せられませんし、暁さんに運転させるわけにはいきませんから」
「そお?じゃあお言葉に甘えて」
「どういう意味かのう…まったく」

少ししたり顔の柳生をかわいいと思いながら、嵯峨野は部屋に引っ込む。

「なに着ていこうかなー♪」
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