置き場

□幸村と真田と。
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嵯峨野暁。
誰もが恐れた『神の子』と『皇帝』とともに、シェアハウスに住んでいる。

――ガチャッ

「ただいまー。って、誰もいないか」
「いるよ?おかえり」

リビングには、パソコンに向かう幸村の姿。

「精ちゃん、なんでいんの?」
「先生が急な休みで急遽休講」
「急遽休きょうねぇ…」
「噛んでるよ」
「知ってる。さて、夕飯作るかなー。何がある?てかなに食べたい?」
「オムライスがいいな。ちょうど残ったごはんが冷蔵庫にあるんだ」

冷蔵庫を開けると、軽く丼3杯はあろうかという米。

「あー、ほんとだー。でもさ、卵なくない?」
「あ、そうだね。俺買ってくるから、暁はチキンライス作っといてよ」
「うん、ありがとう。いってらっしゃーい」
「行ってきます。鍵はかけてくからね」
「はーい」

幸村は心配性。嵯峨野のことをよく気にかけている。

「さーてと。やるかー」

フライパンでガタガタやること20分。

「ただいまー」
「ただいま帰った」
「あ、おかえりー。弦ちゃんも一緒だったんだ」
「ちょうど会ったんだよ」
「弦ちゃんはやめてくれと…いや、なんでもない」
「えー?いいよね?精ちゃんと弦ちゃん」
「俺は構わないよ」
「む…まぁ、構わん」

真田は相変わらず。嵯峨野のことを父親のような目で見ている。

「何か手伝うことはあるか?」
「あ、じゃあ、焼く方お願いしていい?フライパン重くてさ」
「わかった」
「俺はー?」
「じゃあ、精ちゃんは野菜お願いするね。盛り分けるだけになってるから、よろしく。私は机を片付けます」

3人でそれぞれ分担する。シェアハウスでは、それが普通。家事分担権力は、やはり女性が上のようだが。

「出来たぞ」
「出来たよ」
「こっちもOKでーす。運ぼっか」

片付けられた机、綺麗に焼けたオムライス、鮮やかに盛り付けられた野菜。一人で作るには、億劫だよね。

「真田、焼くの上手くなったね」
「む、そうか?」
「うん、弦ちゃんて最初は全然できなかったよね。卵とか割るときに殻入っちゃっててさ」
「そのたびに凹んでたよね」
「も、もうその話はいいだろう!冷める前に食え」
「「はーい」」
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