置き場

□石田銀と。
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「あ、暁はん、ワシとや。よろしゅうな。」
『あ、銀さん!よろしくおねがいしまーす!!はー、なんか安心しちゃったよ。ちーちゃんとか当たったらどうしようかと思った。』
「なして俺じゃいけんと?」
『わっ、いたの?だってさ、ちーちゃんてウチのこと置いて蛍とか追っかけていきそうだもん。』
「ちとせー!いっくでー!!」
「おー、金ちゃん、行くかー。じゃー、またあとで。」
『ばいばーい。』

嵯峨野は千歳と遠山を送りだし、師範に振り返った。

『銀さん、霊とか出たらどうしようか。』
「今日は大丈夫やと思います。月もよう出とるし…。」

ふいっと師範が上を向いたので、嵯峨野も上を見た。煌々と月が輝いているが、見事な半月である。

『ありゃ、半分こだ。』
「む…暁はん、気をつけなはれ。」
『え?』
「嫌なモンが…うろついとるかもしれぬ。」
『えぇぇぇぇ…。』

至って真剣な師範に、おろおろしだす嵯峨野。嵯峨野は、実を言えば相当なビビりなのだ。しかも、それは周知の事実である。それなのにこんなことに参加させられ、嵯峨野のテンションはある意味吹っ切れていたのだ。それが、ここで突き落とされた。

『銀さん、銀さん、どうしよう銀さん…』
「落ち着きなはれ。心配あらへん。ワシがついとる。」

師範は嵯峨野の頭をポンっと撫でて、ほな行こか、と歩き始めた。嵯峨野はその横にぴったりとくっついて歩き始めた。
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