置き場

□千歳千里と。
1ページ/4ページ

「あ、暁、俺とたい。」
『おー、ちーちゃん!今日も下駄か!!』
「突っ込むとこそこかい!なんでトトロ持ってんねん!とか行かないんかい!!」
『あ、ほんとだ!トトロー!!』
「トトロたーい」
「今かい!」

墓地の入り口で、もふもふと大きめのトトロで遊ぶ千歳と嵯峨野を前に、忍足のツッコミが飛ぶ。

「あいっかわらずやなぁ…」
「俺、この二人ならトトロに辿り着けると思いますわ…」

それを遠目に見て、ため息をつく白石と財前がいた。

「ほな俺ら行くから、5分空けて出てな。」
「わかっちょるー」
『わかってるー』
「ほんまかいな…ほな、財前、いくでーっておらん!!」
「謙也さーん、遅いっすわー」
「あ、待ちや財前んん!!」

既に数メートル先を歩く財前に、忍足はすぐに追い付いた。

「相変わらず早いっちゃねー」
『ねー。ちーちゃん、トトロー、貸してー?』
「ほい」
『やったー』
「ゴールするまでかしちゃる。落としたらいけんばい」
『うんっ、ありがとー』
「…むぞらしか」
『なんて?』
「なんもないー」

ボソッと呟いた千歳は、歩き始めた。

「もう充分待った。行くばい」
『あー、うん』

千歳は懐中電灯を片手に、もう片手は嵯峨野の手を掴んだ。

「迷子になるといけんたい」
『そうだね。ありがと!』

きゅっと手を握って見上げてくる嵯峨野に、千歳はふと妹を重ねた。そういえば、妹はお化けが苦手だったな、なんて。

「暁は、お化けとか怖くないと?」
『ん!?んー…ち、ちーちゃんは?』
「俺は平気たい。」
『わ、私も平気だよ?』
「…暁の嘘がバレるまで、あと6分たい」
『え!?』

千歳はクスリと笑って、カランコロンと歩いた。その横を嵯峨野は、不思議そうな顔をして歩いていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ