置き場

□金色小春と。
1ページ/6ページ

「あ、暁ちゃん、ウチとやわぁ。よろしゅうな」
『あ、小春ちゃん!よろしくー!!あー、よかった、謙也とかじゃなくて』
「俺やと問題なんか?ん?」
『謙也なんか怖くねー。だってさ、ビビって先に逃げそうじゃない?』
「あ、確かになぁ。謙也くんびびりやし」
「ビビりちゃうわ」
「けんやー!いっくでー!!」
「はいはい。ほな、またあとでな」
『ばいばーい』


暗闇に消えていく忍足たち。嵯峨野と金色はまた女子トークを再開する。


『でさ、小春ちゃん!サッカー部の佐藤くんと、吹部の山内さんいるでしょ?』
「もしかして…付き合うとるん…?」
『え?うん、そうだけど…』
「佐藤くんはバド部の楠木さんと、山内さんは野球部の杉本くんと、付き合うとるよねー…」
『ま、まさかの四角関係!?』
「はーい、そこまでー」


せっかく盛り上がったところを、白石に邪魔される。


「個人情報だだ漏れやで。まあどうでもエエわ。俺らが出た10分後に出てな。ほなな」
『ちーちゃーん!白石のバカ襲っていいからね』
「白石より暁を襲いたいと」
「千歳くん?それはウチが許さんよ?」
『きゃー!小春ちゃーん!!』
「あほかい…千歳、行くで」


あきれ顔を残して去っていく二人を見送り、また女子トークを再開する。


『で、佐藤くんと、杉本くん』
「山内さんと楠木さんは…」
『「まさかの四角関係!!」』
「いやー、山内さんもおとなしい顔してやりよるわぁ」
『楠木さんは弓道部の今泉くんかと思ってたよー』
「その二人は幼馴染みやで。まあ、今泉くんは楠木さんのこと好きらしいけどな」
『へぇー。ところでさ、小春ちゃん』
「なん?」


嵯峨野は、金色の服の裾をつまんで言った。


『肝試し、苦手なんだ…』


今まで騒いでいたのも、恐怖ゆえ。実は怖くてしかたがない。そんな嵯峨野を気遣って、そっと肩を抱いた。


「ウチがついとるから平気やて。な?」
『う、うん…』
「ほな、そろそろ行こか」
『うん…』


表情の固い嵯峨野に金色は苦笑して、腰を抱き直した。


『ちょ、小春ちゃん!?』
「エエからエエから。ほら、どっかでユウくんが待ってんで。ユウくーん!」
『わ、わわっ!叫ばないでよ!!』
「平気やて!ほら、はよ行こや」


金色はビビりまくる嵯峨野を励ましながら、わりとのんびりと進んでいた。しかし、内心はある意味焦っていた。


(あちゃー…なんや今日に限ってぎょうさん居るわ…あかん、囲まれる前に抜けな…)


金色は、霊が見えていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ