-警報編-

□追求
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部活の終わる時間帯。学校というものは、どこか寂しげな雰囲気を纏う。それは、笑いが基本の四天宝寺も例外ではない。

放任主義の顧問により、部室の鍵は完全部長任せ。つまり。部長は部誌を書きつつ、全員が出るのを待たなければならない。

時々、考え事をするように部誌の上のペンが止まる。それもほんの数秒であるが。
ただ、その数秒さえ気にする人間もいるわけで。

「あー、白石?」
「なん?」

顔も上げずに答える白石に、やや浮かない顔をする忍足。

「あのー…やっぱええわ。あとで話す」
「ん…」

まだ少し騒がしい部室。一人、また一人と帰っていく。

「ほな、先に失礼しますわ。謙也さんも、長居して部長に迷惑かけたらアカンですよ」
「わかっとるわ!」

パタンと閉まるドアに、忍足はため息をつく。

「どっちが先輩かわからんわ…」
「せやなぁ…」

答えた白石の前の部誌は黒く見えるほどに丹念に書き込まれており、頬杖をつきながらペン回しをしている。
カタン、カタン…一定のリズムでペンの部品がぶつかる音が響く。普段なら大したことのない音だが、忍足の耳には嫌に響いた。

「で、さっきの話てなに?」

かたんっ、とペンを置いて、頬杖をついたままの白石が忍足を見上げた。

「ああ、最近疲れてへん?見てて違和感あんのや」
「…その話のために、残ったん?」
「…え?」
「そら疲れとるよ。まだ2年やのに部長やし、1年の指導したり、先輩らの意見聞いたり。自分の練習も怠ったらあかんし、勉強もせなあかん。委員会も疎かにはできんしなぁ…やることいっぱいや」

含み笑いで淡々と話す白石は、どこかいつもと違っている。忍足には、その原因がまだわからなかった。
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