HIKAGO
□平行
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おめでとうヒカル、今日はいい碁でしたね。
｢ん、ありがと佐為｣
特に中盤のあの一手！よく見えましたね。
｢だってあれ、お前この前やったろ、俺と打ったとき。それ思い出したんだよ｣
そうだったんですか？
｢そ。辛い局面だったけどさぁ。佐為なら、どう打つかなって思って｣
…ヒカルも強くなりましたねぇ。
｢あったり前！｣
初めの頃からは考えられませんよ。
｢それホメてる？｣
褒めてますよぉ！最初はなんで、私はヒカルに憑いたのだろうとも思いましたけど。
｢っおい！！…まぁ、反論できねぇけど…｣
………今年も、守ってくれてありがとう、ヒカル。
｢…ま、お前のためだけじゃないけどなー｣
嘘つき。毎年この時期になるとそわそわしてるくせに。
｢…。だってよ…｣
ほらー！やっぱり嘘じゃないですか！
｢うっさいなー！…だってお前このときが一番喜ぶだろ！！｣
ええ！そりゃあ嬉しいですよ！！…ふふ、本当にありがとうヒカル。
｢…帰ったら一局打つぞ。それと今日の検討｣
はい。でも、ヒカル疲れてませんか？
｢大丈夫。つーか今日お前と打たないでいつ打つんだよ｣
まぁそれもそうですねぇ。
｢っへへ、誰も知らないんだぜ。わくわくするよなぁ｣
そうですねぇ。この一局だけは特別ですからねぇ。
｢そうだよ。毎日まいにちお前と打ってるけどなぁ！｣
最近あんまり打ってくれないじゃないですか。
｢あー、ごめんって！最近手合いが忙しいんだよ…｣
まぁ、今やヒカルは一人前の棋士ですからねぇ。
｢…明日は休みだから打ってやるよ。好きなだけ｣
本当ですか！？
｢うん。あー、でも今年もタイトル守れて良かったぁ。っつっても、まだ俺は本当の本因坊じゃないんだよな…｣
ふふ、そうですよ。今年も返してもらいますからね？本因坊の座は。
｢そうはいかねぇぞ！今年こそ正真正銘の本因坊になってやる！！｣
早く帰って打ちましょ、ヒカル。
｢はいはい｣
さぁ、『本因坊』の座をかけて、いざ、勝負！