□花と炭酸水
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「りったんミミズ見つけたよー!」


「そんな気持ち悪いモノ触っちゃダメですやちる先輩!しかも素手で…」


「ワラジ虫もいたー!」


「持っちゃダメです!」


「りったんも触る?」


「ひっ!?」


ワラジ虫を向けられて思わず高い声を出してしまう。


「まだいるかなー?」


やちるを誘って花壇に花を植えることになったのだが、肝心の彼女は花を植える以前に土を掘っていた途中に顔を覗かせた虫に釘付けである。


「花の準備もできたし…これから植えますよ」


「初めて見る花ばっかだねー」


「珍しい品種なんですよ」


「そうなの?」


「この紅くて林檎のような形をした花は"霜紅花"と言います」


「美味しそうだね〜」


「そして…この花がとても貴重なんですよ」


「なんていう花なの?」


「"幸福花"」


「こうふくか…?」


「幸せを運ぶ花です。結婚式で花嫁さんに贈る花としても使われるそうですよ」


「りったん物知りー!」


「さ、植えましょうか」


「どれから植える?」


「あ、やちる先輩。
植える前に軍手をしてください」


「素手でも平気だよ?」


「女の子が手を汚すのは頂けません。バイ菌でも入って感染したら大変です。やちる先輩に何かあれば更木隊長に叱られるのは僕なんですから」


「はーい」


用意した軍手をやちるに渡す。


「ではまず荒れた土を鍬で耕します。それから土に小さな穴を空けてそこに種を蒔いて水をあげましょう」


「ラジャー!」


やちるは鍬を持つと土を耕し始める。


「こんな感じ?」


「上手です」


「次は土に穴を空けるー」


ズボッと人差し指を土に突っ込ませ、穴を空けた。



おお


さすが豪快…



「あ、ミミズ。」


やっぱり幼い少女は幼虫に夢中である。


「穴空けたよ」


「これを蒔いてください」


米粒よりも小さな種をやちるの掌に乗せた。


「風で飛ばされちゃいそう」


「その種はこの列の穴に」


パラパラッと種を植えていき…


「完成ー!」


「咲くのが楽しみですね」


「芽が出たら教えてね!」


「はい」


小さな手を引いて汚れを落とした後、やちるを十一番隊舎に送り届け、また同じ場所に戻って来た。


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