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□*Equiti-見えざる帝国- *
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夢を視た
とても 懐かしい夢
まだ子供だった頃の
純粋で楽しかった夢───……
『今日はあの森に行ってみようぜ!』
人気の無い道の奥を指差すのは、札の様な耳飾りを付けた小さな少年だった。
その少年の後ろには二人の少女がいる。
『あまり遠くに行くと怒られるぞ』
夕陽色の髪を二つ結びにした少女が言う。
『しかもその森は危険だって母様が言ってた』
青い眼をした少女が不安そうに言った。
『大丈夫だって!』
少年は無邪気な笑顔で笑う。
『虚がたくさんいるから近付いちゃダメって母様達に言われたの、忘れたのか?』
夕陽色の髪の少女は少年を見て呆れる。
『そうだよ…虚が襲って来たら…』
『そんなもん俺が返り討ちにしてやる!』
『いや無理だろ』
軽々しく言ってのける少年の言葉を切り捨てた。
『俺は強いんだぜ?世界一強くてかっこいいんだ!虚を倒せなくて世界一を名乗れるかよ!』
『お前…この前の剣の稽古でコイツに敗けたろ』
『あ、あれは…!!』
夕陽色の髪の少女は隣に並んで立つ青い眼の少女を指差す。少年は慌てて弁解を始めた。
『たまたま調子が悪かったんだよ!』
『へーなるほど。』
『くそ…信じてねーな!?』
『二人とも喧嘩はやめて』
言い合いを始めてしまう二人を青い眼の少女が宥める。
『ほら行こうぜ!』
少年が二人に手を差し出す。
『どうする?』
『…どうせ暇だしな』
『決まりだな!』
ニッと笑う少年の手を二人は握る。
『もし虚が来ても俺がお前らを守ってやるよ!』
『“────”にあたし達が守れるのかー?』
『任せとけ!“────”も“────”も絶対に俺が守ってやるから安心して着いて来い!』
『虚が仲間を呼んだら三人で力を合わせてやっつけよう!』
『“幼馴染の絆”ってやつだな』
『それいいな!』
『そういえば…“────”は来なかったのか?』
『“───”は柊先生のトコに行ってる』
『具合でも悪いのか?』
『ただの頭痛だって』
『残念だな。
んじゃアイツの分も探検してきてやるか!』
『あ、早いよ“────”!待って!』
ズンズンと手を引かれ、小走りになる。
『(楽しいなぁ…でも…)』
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