□書類配りIII
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「それ…どうしたの?」


「!」


「頬、痣になってる…」


殴られた箇所が青くなっていた。


やちるは辛そうに顔をしかめる。


「痛い?」


「これくらい平気です」


「ほんと?」


「はい」


「気をつけてね!」


「ありがとうございます」



相変わらず彼女は優しい



「やちる先輩は僕を疑わないんですか?」


「りったんを疑うはずないよ!
だってあたしりったん好きだもん!」


やちるは力強く言った。


「十一番隊はりったんの味方だよ!
だから安心してね!」


「それは心強いです」


「でも辛くない?」


その質問にキョトンとしたがすぐに笑みを浮かべる。


「こんなこと言うとイカれてると思うかも知れませんが…楽しいです」


「相変わらずイカれてやがるな」


「はは、」


「そこがりったんのいいところだよ!」



それは…褒めてるんだろうか?



「しっかしみっともねえツラだな」


「返す言葉もないです」


「イケメンが台無しじゃねえか」


「まったくです」


「否定はしねえのか…」


呆れ顔の更木。


「でもまさか…ハメられるとは思いませんでしたよ。まるで地獄に落ちた気分です」


その言葉とは反して流歌は少しだけ嬉しそうに笑っている。


「本当に地獄に落ちた時はてめえの墓の前で無様な人生だったと憐れんでやるよ」


更木は刀を肩に乗せながらニヤリと笑う。


「地獄には落ちません」


「だったらバカみてえに笑って前向きに生き抜いてみせろ。んであの女に一泡吹かせてやれ」


更木の言葉に流歌は笑みを浮かべた。


「つーかその男装、高峰に似て気色悪ィな。いつもの自信に満ち溢れたてめえに早く戻りやがれ。んで俺と勝負しろ。じゃあな」


更木はいつの間にか判を押した書類を流歌に押し付ける。


「上等です。何が何でも死に物狂いで生き抜いてやる。あんな女に負けるつもりはありません」


ニヤリと笑うと更木も小さく笑ってその場を出て行った。


「頑張れりったん!」


「頑張ります」


無邪気に笑うやちるの応援に後押しされた流歌は十番隊に向かった。


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