□*Apricus-優しい恋- *
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「隊長を…傷付けてしまったらどうしようって…」


「!」


「それを考えると…怖いんです」



私が大事にしているものは


いつも自分の手で壊してしまう


護ろうとしても


結局は傷付けて悲しませるだけ


それが怖いのだ


大事なものを失うかもしれないという恐怖が


過去を越えた現在も…心を支配している─────。



「消えてしまったら…どうしようって…」


「消えねえよ」


「!」


「お前を残して消えたりしない」


「…信じますよ?」


「約束する」



『私はお前達を置いてどこにも行かない。
ずっと傍にいると約束しよう────。』




「約束…してください。その約束を…ちゃんと守ってください。あなたまでいなくなってしまったら…私は悲しいです」


一瞬だけ脳裏を過ったのは、一人の女性の姿だった。


「お前だってどこにも行くなよ。
俺を置いてどこにも行くな」


その言葉に何も答えず、ただ悲しい笑みを浮かべる。



あなたは どこにも行かないで


私の前から消えたりしないで


最期の言葉を残して


私を置いて


いなくなったりしないで────……



「それに言ったはずだぜ。俺と一緒に幸せになるって。お前が消えたりしたら…俺は幸せになれねえからな」


「そうでしたね」



隊長は約束してくれた


私を置いてどこにも行かないって


ずっと私の傍にいてくれるって


ちゃんと約束してくれたんだ


よかった


彼が一緒にいてくれる


これでもう…


あの時のような思いはしなくて済む───……



「私を好きになってくれてありがとうございます、隊長」


少し泣きそうな顔で笑う。


日番谷も嬉しそうに笑って言葉を返す。


「俺の方こそ好きになってくれてありがとう、梨央」


改めて気持ちを伝え合って二人は笑い合う。


「っと…忘れるとこだった」


「?」


「お前に会ったら渡そうと思ったんだ」


日番谷は小さな箱を梨央に渡す。


「もしかして…プレゼントですか?」


「そのつもりだ」


「!」


「気に入るかはわかんねぇけどな」


「開けてもいいですか?」


「ああ」


ドキドキしながら蓋を開けた。


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