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□*Orbis-交わる世界- *
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「…そこまで調べがついているとは。
流石は零番隊の隊長を務めるだけのことはある」
「やはりキミは私が零番隊隊長であることを知っていたか。道理で初めて私を見ても驚かないわけだ」
「僕の邪魔をするつもり?」
「本当は今すぐにでもキミを消すつもりだったんだが気が変わった」
「!」
「面白そうだからキミ達の茶番に付き合ってやるよ」
「イかれた隊長だな君は」
「褒め言葉として受け取っておく」
「“別件”───君は現世に来た理由をそう答えた。彼には伏せていたみたいだが…僕達を調べに来たんだろう?」
「やはりキミと銀城は繋がってたか」
「だとしたらどうする?」
「別にどうもしない。私は総隊長からキミ達を殺せなんて命令は受けてないし…殺さないよ────多分ね」
「“殺さない”…か。殺気をぶつけておいて君の言葉を信じろという方が無理だ」
「あはは、ごめんね、悪気はないんだ。
でも…これだけは覚えておけよ…月島」
ピリッ
「!!」
月島の体にのしかかる過度な重圧。
その強烈な霊圧に月島は顔を歪めた。
「私の友達に危害を加えてみろ。
その時は問答無用で殺す」
「………………」
「髪の毛一本も…肉片も残さず…この世界から消してやる」
怖い顔をした後、鋭い殺気を消して張り付けた笑みを浮かべてその場から立ち去った。
その夜、街灯に照らされた織姫を見つけた。
手を挙げて声をかけようとすると何やら織姫は誰かを探している様子。不思議に思って背後から声をかけた。
「織姫ちゃん」
「!?」
振り向いた織姫は驚いた表情を浮かべる。
「梨央ちゃん!!」
だが梨央の顔を見るなり嬉しそうに笑った。
「どうしたの!?
久しぶりだね!!」
「別件で現世に来たんだ。それより織姫ちゃん、こんな時間に何をしてるの?女の子が一人で夜道を歩くのは危険だよ」
「梨央ちゃんも女の子だよ?」
「私は襲われても撃退できる自信があるから大丈夫」
「強いもんね!」
「空手有段者には負けるよ」
ほんわかとした空気が流れる。
そしてハッとした織姫が慌てた様子で梨央に言う。
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