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□*Equiti-見えざる帝国- *
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「其処から離れろ」
花壇に近付く伏見を一喝する。
「この花…幸福花だろ?」
冷めた眼で見た後、梨央に視線を移す。
「植えたのはお前か?」
「何故そんなことを知りたがる」
「いやァ…罪を犯したお前に幸福花は育てらんねえと思ってよ」
「………………」
「どういうつもりでこの花を植えたのかは知らねえけど…」
急に真剣な表情を浮かべる伏見。
「幸せを求めるな、お前にその権利はない」
「…キミこそ私が声をかけるまで随分と熱心に幸福花を眺めていた様だが…同じことを言える立場か?」
「バーカ、引っこ抜いてやろうと思ったんだよ。ついでに花壇もめちゃくちゃにしてお前の悔しがる顔を拝もうと思った」
「それは友人と共に完成させたものだ。もし台無しにしてたら…私はキミを斬り殺していた」
「相変わらず物騒な言葉だなァ」
伏見はザクザクと地を踏んで梨央に近寄る。
「千年ぶりに幼馴染が会いに来てやったのに随分な嫌われ様だ。もっと喜んでくれてもいいんじゃねーの?」
「喜んで受け入れる程、私はキミを歓迎していない」
「そーですかァ」
落ち込むどころか、伏見はニヤけた顔を浮かべている。
「ほんとお前、俺が嫌いだな」
「キミも私が嫌いだろう」
「お前を好く奴がいんのか」
「………………」
「俺ァお前を殺したいくらい大嫌いなんだよ」
嫌悪の眼差しを向ける伏見。
「冴島兄妹を殺したのはキミだな」
「冴島ァ?誰だっけ?」
本気で分からないと云う表情を見せる。
「キミに脱獄の協力を依頼した男だ。
妹も一緒に捕まってただろう」
「冴島…冴島ねェ…」
視線を斜め上に向け、考える。
「!おお…思い出したわ。
あの兄妹な。殺したけど…それが何?」
「何故殺した」
「弱い生き物は大嫌いなんだよ」
反省の色を浮かべるわけでもなく、伏見は平然と言う。
「弱い癖に強いと勘違いしてるバカ兄妹。弱い奴が生き残ってても役に立たねえだろ?だから殺した。それの何が悪い?」
「………………」
顔をしかめて伏見を睨む。
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