□*Equiti-見えざる帝国- *
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「お前、矛盾してんな」


梨央は何も答えず、伏見を見据える。


「殺すのは嫌な癖に秘密を知られたら殺すのか。お前だって似たようなもんじゃねーかよ。結局は自分が大事なんだ。だから迷い無く斬り捨てられる。秘密を知られるのは怖いもんなァ」


ニヤリと笑う伏見に苛立ちを募らせる。


「安心しろよ」


「!」


「お前の秘密を知ってようが俺は興味ねーし、誰かに話すつもりもねえ。そんなクソどうでもいい秘密バラしたところで俺には何の得もねーからな」


「………………」


「何だよ信じろって。
幼馴染じゃねーか」



気のせいだろうか


“幼馴染”と口にする度に


伏見から強い悪意を感じる



「忠告しておくよ、伏見」


「あ?」


「もし秘密を口外すれば私はキミを嬲り殺す」


唇の端を上げて笑えば伏見もニヤリと笑い返した。


「嬲り殺せんのかよ?お前に俺が。」


「もちろん。肉片も残さず葬り消す」


「へぇ…そりゃ楽しみだな」


腹の探り合いをするようにお互いの眼をジッと見つめる。


「…なーんか変なんだよな」


「?」


「お前はお前なのに…俺の知ってるお前じゃないっつーか」


「!」


「“そこにいるようでいない”感じがする」


「………………」


「お前…“半分だな”?」



だから嫌いなんだ


この男は



「なるほどなァ…だからか…」


細めた目で梨央を見る。


「お前すげぇ気持ち悪いな」


それは嫌悪の眼差しだった。


梨央は険しい表情のまま言う。


「まだ用件を聞いてなかったな」


「おー」


「私に何の用だ」


伏見はニヤリと笑った。


「宣戦布告しに来た」


「何?」


バサッと白装束を翻す。


「5日後、尸魂界は“見えざる帝国(ヴァンデライヒ)”により殲滅される」


「!?」


「そしてこの戦いで俺は“目的を果たす”…」


「目的?」


「どうしても壊したいもんがあんだよ」


「それは…何だ?」


「誰が教えるかバーカ」


「……………」


「世界は終焉を迎える。
そうすればお前らは最後だ」


伏見は梨央から離れる。


「楽しみだな。
お前が最期、何に縋るのか」


そう言い残して、伏見は消え去った。


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