□*Equiti-見えざる帝国- *
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少し遅れて隊舎に着くと蒼生達が何やら支度をしている。


「おはよー」


「“おそよう”の間違いでしょ」


「詩調は厳しいな〜」


「何度も伝令神機に連絡したのよ」


「え?」


「それなのに返信ないんだもの」


「ああごめん…ちょっと取り込んでて…」


「早く支度して」


「何かあった?」


「隊葬だ」


「え…?」


梨央の横を通り過ぎながら蒼生が言った。


「誰…誰が…」


「一番隊副隊長、雀部長次郎っスよ」


「雀部副隊長が…」


悲しい表情を浮かべる。


「雀部副隊長ってあんま印象ないんだよねー」


「関わりもないしね」


「梨央ちゃんと蒼ちゃんは知ってる?」


「雀部長次郎忠息は隊長となるべき死神だった」


「あの人が?全然そんな感じには見えないっス」


「記録によれば京楽隊長や浮竹隊長の生まれる以前より卍解を修得していた。だが護廷十三隊の成立以降は一度たりともその能力を人前で使う事は無かった」


「副隊長なのに一度も卍解を…?」


「隊長格といえども人格者ばかりでは無いよ」


「雀部長次郎の実力を伝え聞いていようとも“戦いに参加しない副隊長”として席官程度の扱いをして侮辱する奴もあったみたいだな」


「るーたんみたいなものか」


「Σちょっと霙チャン!?
オレちゃんと戦いで活躍してるよ!?」


「活躍した程度で調子に乗りやがって」


「あれ!?急に冷めた!!」


「御影うるさいわ」


「こっちも冷たい!!」


毒の強すぎる二人からの容赦ない扱いに琉生はショックを受ける。


「そして隊長が入れ替わり幾度その座に空席が出ようとも、暫定的な隊長代理どころか先日まで檜佐木副隊長や吉良副隊長の就いていた隊長権限代行の座すらも頑として拒んだそうだ」


「どうしてそこまでして…」


「全てはその苛烈な迄の忠誠心が故」


「雀部長次郎は山本元柳斎在る限り生涯一副隊長であると誓った男。その男が初めて戦いで卍解を使い、そして死んだ」


「総隊長の痛嘆、私達若輩が推し量るに余り有る」


「雀部副隊長は…本当に総隊長を尊敬してたんだ」


霙が言う。


「また…死んじゃった」


泣きそうになる霙の頭に手を置いて慰める雅。


「さあ…行こうか」



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