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□*Illusio-苛立ちの不協和音- *
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《セッカク彼女ガ代償ト引キ換エニ記憶ヲ無カッタ事ニシタノニ…彼女ノ覚悟ヲ無駄ニスルツモリナノカイ?》
《彼女ガドンナ思イデ犠牲ヲ払ッタノカ…忘レタ訳ジャナイダロウ?》
《彼女ハ“正シイ事ヲシタ”ンダ。》
「ソレデモ…真実ヲ話ベキダ」
《君ハ馬鹿ダ!大馬鹿ダヨ!》
《何度言エバ分カル!?》
《真実ガ彼ニ伝ワッテシマエバ!》
《彼女ハ───……》
「おい」
蒼生は怖い表情を浮かべている。
「さっきから一体何の話をしてやがる。
俺の記憶に何かしたのか?」
《…クスクス────。》
「何が可笑しい?」
《君ハ本当ニ何モ知ラナイ!》
《オメデタイ奴ダ───!!》
「ぶち殺すぞ」
《君ガ無カッタ事ニシタイ記憶ハ何?》
「俺の…無かった事にしたい記憶…?」
そう陽気に問われ、蒼生はグッと顔をしかめる。
「ねぇよ、そんなもん…」
苛立つ声の蒼生に声の主は嘲笑するように楽しげに言う。
《嘘バカリ!君ハ嘘吐キダ!》
「…何だと?」
《ダッテ君…トーッテモ怖イ顔、シテルヨ?》
「………………」
《悲シイヨネェ…分カルヨ!君ノ気持チ!》
「あ?」
《マダ子供ダッタ君達ニ、母親ノ死ハ残酷過ギタ!!》
「っ………!!」
蒼生の表情が強張る。
《ウンウン…辛カッタダロウ。君達ハ大好キナ母親ヲ殺サレタンダ。サゾカシ辛クテ悲シカッタ。》
「…………………」
《デモ悔ヤム事ハ無イ!》
《人ハイツカ死ヌ!ドンナ形デ最期ヲ迎エテモ、ドンナ悲惨ナ姿デ愛ノ言葉ヲ告ゲテモ…ソレハ人トシテ生マレテキタ宿命!》
《君達ノ母親モ人トシテ生キ、人トシテ死ヲ終エタ!》
《素晴ラシイ人生ダロウ────!!》
「黙れ!!!」
刀を振って斬撃を飛ばせば壁に衝突して大きな穴を空けた。
砕けた岩の破片がパラパラと地面に落ちる。
「“素晴らしい人生”だと?ふざけんじゃねぇ…。テメェが俺達の何を知ってる…母さんの何を知ってるって言うんだよ」
《知ッテルヨ。》
「……………」
《コノ洞窟デ起キタ事ハ全部ネ!》
《サァ!楽シイ夢ノ開幕ダ────!!》
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