□*Praeteritum-霊王宮- *
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「ああ、それは…」


死覇装の袖を捲って一護に腕を見せる。


「!?」


「“これ”だよ」


「腕…?」


「“王鍵”とは零番隊に選ばれた際に霊王の力によって変質した“私達の骨”のことを指す。故に霊王宮に入る方法は二つ」


梨央は人差し指と中指を立てる。


「私達の意思で中へ通すか、私達と共に中へ通るか。藍染は“王鍵”を創ろうとした。つまり奴は己の霊術で“私達自身”を創り出そうとしたんだよ」


「命を創り、王を討ち、まさに神に取って代わろうと目論んだ。藍染惣右介、あの男こそまさしく悪そのもの。だが心しろ黒崎一護、今回の滅却師共はそれを凌ぐ巨悪となる」


「さて…早速準備に掛かろうか」


指定の位置に一護を立たせると詩調がハンマーの様なものを両手に持って振り上げる。


「今から打ち上げるから動かないでよね。動くと死ぬわよ。まぁ死んでもいいなら勝手に動いて死になさい」


「言い方辛辣!!もう少し言葉があんだろ!!」


「何であんたに言葉選ばなきゃなんないのよ。あたしの言葉で傷付いたならそれはあんたの心が弱い証拠。もっと心を鍛えてから反論するのね、オレンジ頭の不良男。」


詩調はふんっと鼻を鳴らしてハンマーを振り下ろそうとする。


「ちょっ…待て待て、ちょっと待ってくれ!!」


「何よ…もしかしてビビってんの?」


「ビビってねーよ!なんで何の説明もないんだよ!?俺これからドコ行くんだよ!?霊王に会いに行くのか!?」


「はぁ!?バッカじゃないのあんた!!なに眠たいこと言ってんのよぶっ飛ばすわよ!!あんたみたいな奴が霊王様に会えるわけないでしょ!!恥を知りなさい!!この半死神もどき!!」


「半死神もどき…」


「まあまあ詩調、落ち着いて。
彼は何も知らないんだからさ」


「隊長はコイツに甘すぎだわ!」


散々な言われ草の一護を梨央は宥める。


苛立つ様に顔をしかめると詩調は顔を逸らした。


「あたしは悪くないわよ」


「…気の強え女だな」


「聞こえてるわよ!!」


噛み付く様な勢いで一護に食って掛かる。


「ハイハイ、その辺でいいだろ」


手を叩いてその場を静める。


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