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□*Praeteritum-霊王宮- *
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「説明は…雅に任せた」
「面倒だからって他人に押し付けるのはどうかと思うっス」
「琉生黙れ」
笑顔でピシャリと言って琉生を黙らせる。
「霊王宮っていうのはもちろんこの空間全体の事を指すんだけど今居るここは正しくは『霊王宮表参道』霊王宮本殿へ続く入り口だよ。この表参道の奥に浮かんでる大きな繭の様な建物が見えるでしょ。あれが本殿『霊王大内裏』霊王がいるのはあそこだよ」
雅は空に浮かぶ円盤を指差す。
「そしてその周りに浮かんでいる六つの盆のようなもの、あれが『零番離殿』僕達の城なんだ。あの盆の上にはそれぞれの街が乗っかっていて僕達は霊王にその街を丸ごと一つずつ与えられているんだ」
「さすが雅♪」
「本来は梨央チャンが説明するんスよ」
「何も聞こえない」
「あれでいいんスか!蒼生クン!」
「………………」
「蒼生クン?」
琉生の声が届いていないのか、蒼生は茫然としている。
「街を丸ごと…」
「まずはその中の一つ!
オレの『碌迦殿』に来てもらうっス」
「誰?」
「御影琉生。零番隊の三席っス」
「(このチャラくて軽薄そうな男が三席…?)」
「人を見た目で判断しちゃ駄目っスよ」
「派手なナリだなと思って」
「つまりカッコいいってコトっスね!」
「誰もそんなこと言っ…」
「いいんスよ皆まで言わなくても!」
「は?」
「オレが美形なのは当然スから!」
無駄にキラキラオーラを振りまき出す。
「こんな容姿だから自分から近付かなくても女の子の方から寄って来るし。男には恨まれるコトが多々あるっスけど…それはオレの美形に勝てないから嫉妬してるだけ。ホント罪な男スよねー。モテるのも楽じゃないっス」
「………………」
一護は何故だか沸々と怒りが込み上げて来た。
「なんなんだこいつ!!」
「改めて聞いてるこっちも反吐が出るほど清々しいな」
「自分に酔ってんのよ。ナルシストが。」
「くたばればいいのにね〜」
「待て待ていっちー。琉生を殴りたい気持ちはわかる。私も奴を殴りたい。だが抑えろ。私も我慢する」
拳を構え出す一護を冷静にさせて止めさせる。
「根は良い奴なんだ」
「ホントかよ…」
「だから頑張れ♪」
「ぜってえ無理!!」
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