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□*Auxilium-想い想われ、追い追われ- *
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驚く暇もなく、目の前に現れた伏見は口角を上げて笑う。
「死ね────!!」
伏見は剣を振り下ろした。
だが少女は剣を縦に構えて攻撃を防いだ。
ガキィン!!
「っ…………」
「上手く防いだじゃねーか」
ガチガチと刃同士が音を立てる。
「下がガラ空きだぜ!」
ガッ
「うぐ…っ!」
隙ができていた腹部に蹴りを入れる伏見。
苦しげに呻き声を漏らして遠くに吹き飛んだ。
「げほっ!げほっ!」
腹部を蹴られた衝撃で嗚咽感が襲う。
「やっぱ力が半減されてんな。
お前の力はこんなモンじゃねーだろ」
「ハァ…ハァ…」
へたり込んだまま、痛みで腹部を手で押さえる。
「もう…やめてくれ…伏見」
「!」
「キミは間違ってる」
「ハッ!なんだよ!こっちのお前は随分と優しいのな!こんな俺なんかに情けをかけんのかよ!」
「…情けなんかじゃない」
「情けじゃないなら何だってんだよ!?
同情か!?それとも馬鹿にしてんのか!?」
「…彼女の…『あの子』の『彼』を奪わないでくれ」
「はぁ?」
「やっとまた…二人で一緒にいられるんだ。
それを…キミの都合で勝手に壊すのはやめてくれ…」
「…今更何言ってんだ。
“勝手に壊すのはやめてくれ”?」
伏見は嘲笑し、蔑みの双眼で少女を見る。
「もうとっくの間に壊れてたんだよ。そもそも…死んだ蒼生を壊したのはあいつだろ。あいつのせいで蒼生は死んだ。そしてあいつの勝手な都合で蒼生は人形同然に生き返ったんだよ」
「………………」
「なのに…今更善人ぶるんじゃねえ。
お前はもう罪人なんだよ!人殺しのなァ!」
伏見は愉しそうに笑い、少女を見下す。
「…こんなに寂しいとはな」
「何が寂しいって?」
ふっと少女は笑んで伏見を見た。
「キミにはわからないよ」
「………………」
それに苛立った伏見が剣を突き付ける。
「そうかよ…」
切っ先が少女に向けられている。
「じゃあ死ね!!」
伏見がこれから何をしようとしているのか、瞬時に理解した少女は持っていた剣を伏見に突き付けた。
「「“射て”!!!」」
二つの声が同じ言葉を交わすと、互いの剣の切っ先から眩い光の光線が勢い良く発射された。
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