□*Reunion-×××を望んだ少女は- *
2ページ/14ページ



「でも不思議よね」


「何が?」


「あたしも貴女がいつから霊術院の生徒なのか思い出せないの。最初から居た気もするし居なかった気もする。ね、自分でも不思議に思うことあるでしょ?」


「そうだね…」



“何故ここに来る前の記憶が無い”のか


“何故自分は霊術院の生徒をしている”のか


それが解れば、どんなに楽か…。



「でも今は受け入れてるよ」


少女はニコッと笑った。






































「先の霊王護神大戦において、護廷十三隊が約半数の隊士を失ったことは、諸君の知るところだろう」


一同を見渡し、がっしりとした体格の学院長が言葉を続ける。


「今更言うまでもないことだが、我が真央霊術院は六年制である。もちろん全ての成績に於いて高く評価された者は死神見習い制度は免除され、護廷十三隊に所属することも可能だ」


学院長は一呼吸置いて更に言葉を続ける。


「因みに数百年前には我が真央霊術院をたった三ヶ月で卒業した者もいる!」


ザワッ


「三ヶ月!?」


「マジかよ…」


「天才じゃねえか」


途端に大講堂がざわつき始める。


「三ヶ月ですって…」


「(ハイスペック過ぎる…。)」


その卒業生の異例の卒業歴に少女は若干引いていた。


「そこで本日は、死神としての心構えをお話しいただくため、当霊術院の卒業生である吉良イヅル三番隊副隊長にお越しいただいた!」


それを聞き、学院生達はわっと色めき立った。


尸魂界(ソウル・ソサエティ)における隊長副隊長は、現世で言う一流芸能人のようなものだ。


「では吉良副隊長、よろしくお願いします」


学院長に促されて登壇した吉良イヅルは、生気の感じられない青白い顔で講堂を見渡した。


学院生達は現役副隊長の登場に目をきらめかせている。


「(未来ある若人に、死人が死神の矜持を説くとはね…)」


吉良は目を伏せ、小さくため息をついた。


「(あの人…目が死んでる。)」


人の肌色にしては随分と青白い。


少女は生気の感じられない青白い顔を見て講習を開く前に医者に診てもらった方がいいのではないか、と心の中で思うのだった。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ