□STORY2.悪夢の知らせ
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花の都────ルシフィナ。


太陽の恵みで花が咲き


神聖な泉で作物が育つ



「マヤ様!大変です!」


「なんだい騒々しい」


「それがその・・・子供が浜辺で倒れていて・・・」


「子供?」


「一応生存は確認しました」


「ここに連れといで」



その島で暮らす人々は


花の神"カミュラ"の加護により


邪悪なものから守られている



「!」


「マヤ様?」


「この娘・・・」


「衰弱しています。怪我も酷いようですし・・・」


「目が醒めるまで寝かせておやり」


「後はお任せしても?」


「ああ」



別名─────『世界一美しい島』。


人々はその島の美しさに目を奪われ


咲き誇る花々に魅了される



「銀の髪・・・」


ベッドで寝ているティアナの顔を観察するようにジッと見つめる老女。


「これも何かの縁かね・・・」


懐から一本煙草を取り出し口に咥え、火を点けると老女は棚に立て掛けてある写真立てを見る。


「ん・・・・」


「!」


その時、意識を失っていたティアナがゆっくりと瞼を押し上げ、目を覚ます。


「・・・・・・・」


真っ白な天井を見たまま動かないティアナに老女は声をかけた。


「気が付いたかい」


「っ・・・・!?」


老女の顔を見た途端、異常な驚きを見せたティアナは慌てて起き上がる。


「急に起き上がると・・・」


ズキッ


「うっ!!」


身体の節々が痛み出す。


「怪我してんだ。忘れたのかい?」


「怪我・・・」


頬に湿布が貼られている。


「あの・・・貴女は?」


「マヤだ」


「マヤ・・・様・・・」


「浜辺で倒れていたアンタを島の住人が発見して家まで運ばせた」


「倒れてた・・・?」


マヤの言葉に驚いた表情を浮かべるがすぐに納得したように小さい声で云った。


「・・・"飛ばされた"か」


ギリッと悔しそうに歯を噛み締める。


「ところでアンタの名前は?」


「名前・・・」



そう聞かれてティアナは考える。今ここで素性がバレれば海軍に通報されるかもしれない…と。


「"ナディア"」


考えた結果、偽名を名乗ることにした。


「・・・・・・・」


「あの・・・?」


「何処から来たんだい?」


「シャボンディ諸島から」


「何のために?」


「この島の噂を聞きつけて」


「世界一美しい島かい」


「はい」


「本当にそれだけかい?」


「・・・・・・・」


妙に威圧感のあるマヤにナディアは口を閉ざす。


「ああ、困らせたみたいだね」


「いえ・・・」


「許しておくれ。これでも元海軍だったせいか、素性の知れない奴を問い詰めるのが癖になってるみたいでね」


「慣れてますから気にしないでください」


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