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□ストーカー撃退法。
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"つまんねー女"
そんなこと自分が一番知ってる
「うわ、ガリ勉女!」
「無愛想で感じ悪ィな」
周囲の言葉は基本スルー。
どんなに馬鹿にされようが笑われようが相手にしてたら埒がないので無視。
「おはよう香澄。」
「おはようございます、めいちゃん」
教室に入るとめいちゃんが挨拶する。彼女との出会いは男子にガリ勉女だと馬鹿にされているところを助けてくれたのがきっかけだ。
「今日の帰りですが・・・」
ドン!
突然めいちゃんが床に伏せるように転んだ。後ろを振り返ると私は顔色を変える。そこには巨乳好きで変態男の中西とか言う奴と学校一のモテ男である黒沢大和が立っていた。
もちろんめいちゃんにわざとぶつかったのは中西だ。
「あ、わりぃ─────おまえいたんだ。」
謝罪の一つもせずニヤニヤと転んだめいちゃんを見て笑う。
「めいちゃん、立てますか。」
「・・・・・・」
私の手を取りながら二人を睨むめいちゃん。
「おいおい、わざとじゃねぇって────なぁ?謝ったじゃんかよぉ。」
「謝った?いつ?」
「!」
「彼女をわざと転ばせて笑っているのはどこのどいつですか。謝るならそれなりの態度を示してください」
「はぁ?」
「ああもしかして"ごめんなさい"の一言も言えないんでしょうか。高校生にもなって謝罪の一つもできないとは…よほど頭の回転が弱いんですね」
「なにおまえ…俺は橘と話してんだよ。ガリ勉女が横から入ってくんな。」
二人の間で一触即発の雰囲気が漂う。こういう奴は相手にしないのが一番だ。私はめいちゃんの手を引いてその場から立ち去った。
「アイツいっつも橘めい助けるよな〜。友達ごっこってやつ?黒沢も知ってんだろ?うちのクラスにいる東雲香澄っていうんだけどさぁ、なんでもアイツ頭脳明晰で噂じゃIQが300もあるんだってよ。付けられたあだ名が"現代のアインシュタイン"とかなんとか。あいつらぜってぇ今まで男いたことねぇよ」
「そっかぁ?ああいう女ってすげぇの持ってそう。」
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放課後、バイトがあるめいちゃんを見送って私は一人で帰ることにした。
靴箱を開けると四角に折りたたまれた紙が外靴の上に置かれているのを発見する。
「・・・・・・・」
いつものことだと思いながら紙に書かれた内容を確認すると溜息を吐く。
【天才だかなんだか知らないけどガリ勉女がこんな学校来んな!今すぐ出て行け!】
誰が犯人かは知らないが探す気も失せる。ただ思ったとは字が汚いし机の上で書いたのか、字がガタガタである。
「他にすることないのか…」
グシャグシャと紙を丸めてポケットに突っ込む。こんなの書くならもっと丁寧に書け。そう思う。
「東雲香澄さん。」
「!」
「あの時はどーも。」
「・・・・・・」
「無視しないでよ」
「・・・・何か用ですか。」
厄介な奴に声をかけられてしまった。たしかこの人、朝の朝礼帰りめいちゃんに回し蹴り食らってたような…。
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