□ゲンセ ト カンチガイ
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【一番隊舎】



「総隊長は鬼ですか」


「鬼に見えるかの」


「ええ見えます」


「それはお主が中々起きんからじゃ」


「せっかく寝てたのに…」


眠たそうに答える梨央は軽く欠伸をする。


「本題に入る」


「!」


「零番隊隊長仁科梨央、お主を明日付けにて無期限の現世行きを命ずる」


「………は?」


「目は覚めたか?」


「覚めましたが…えーと…急すぎて混乱してます」


「無理もない。今朝決まったのじゃ。
現世と云っても行き先は空座町」


「空座町…?」


「最近、空座町に大量の虚が出現するとの報告を受けた。護廷じゃ処理し切れん故、最も戦力になるお主が抜擢されたのじゃ」


「そうですか…空座町…」


「まだ気にしておるのか?」


「いえ、もう過去のことです」


「引き受けてくれるかの?」


「もちろんです」


「頼んだぞ」


「了解です」


返事の割にあまり乗り気ではない梨央は曇り顔を浮かべて小さく溜息を吐き、零番隊舎に戻った。



























ガチャッ


「おかえり!」


「ただいま」


「朝から呼び出しお疲れ様」


「ホントにね」


「炭酸水飲む?」


「貰おうかな」


雅に礼を言ってソファーに座り込む。


「どうした?」


「んー…総隊長の話がねェ…」


「ジジィの話何だって?」


「明日から無期限の現世行きを命じられた」


「現世?」


「また急っスね」


「現世に行くのやなの〜?」


「別に嫌じゃないよ」


「そう言う割に沈んだ顔〜」


机に上半身を伏せて両腕も前に伸ばした霙が言った。


「行き先は決まったの?」


「空座町だよ」


「空座町だと?」


ピクッと反応したのは蒼生だ。


「ま、頑張ってくるよ」


「はい、炭酸水」


「お、ありがとう」


運んできた炭酸水を雅に渡されて一口飲む。


「っ〜〜喉に沁みる…。
あ、目が覚めた気がする」


「シュワシュワして美味しいよねー☆」


「目が覚めたなら十番隊に書類届けて来い」


「わかった」


蒼生から書類を受け取って執務室を出た。


「蒼生?どうかした?」


「…いや、何でもねぇよ」


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