□キケン ト オアソビ
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《聞こえるか仁科、空座町東部に“破面”の反応だ。数は二体。その霊圧・濃度・安定性から見て───『成体』であると思われる。すぐに向かってくれ。》



「既に向かってます」



《初っ端から本気出してうっかり“やり過ぎる”なよ。》



その言葉にげんなりとする。


「兄と同じこと言わないでください」



《お前、戦闘に“ハマり過ぎる”と制御効かねえだろうが。一応霊圧を抑える装置は強化してるが、“お前の中の鎖が切れたら”元も子もねえんだぞ。それで総隊長にこっ酷く叱られるんだろ。》


青蝶から阿近の呆れたような溜息が耳に届く。


「阿近さんまで説教とかやめてくださいよ〜」



《いつ“ガタ”がくるか分かんねえぞ。》



「!」


阿近は真剣な声で言う。



《お前は自分で自分を壊そうとするからな。》



「…そんなことないと思うんですが」



《馬鹿か。これでも一応お前との付き合いは長いんだ。お前が自分を犠牲にして生きてることくらい、俺でもわかる。》



「……………………」



《自分の大事なもん、自分で壊すなよ。》



「!」



《…悪いな、なんか説教みたいになっちまって。》



「いいえ、ありがとうございます」


感謝の言葉とは裏腹に梨央の顔は沈んでいる。阿近の声を振り払う様に速度を上げた。


「!」



《どうした?着いたか?》



「……阿近さん。全てが片付いたら連絡します」



《……………、……そうか、わかった。》



その真剣な声に阿近は現世で何が起きたのかを素早く察すると詳しいことには触れず、通信を切った。連絡を終えた青蝶はどこかに飛んで行く。


「…おいおい…マジか」


目の前の戦況に唖然とする。


その顔は驚いているものの、笑みが浮かぶ。


視線の先には深傷を負って倒れている織姫と茶渡。


そして重傷の二人を庇う様に前線に出て戦っているボロボロの姿の一護。


「あれが破面…」


対峙している破面は二人。一人は翡翠の瞳をした無表情の破面と、もう一人は、巨大な体格をした破面だ。


状況から見てどちらが不利か、一目でわかった。


「はぁ…蒼生くんの勘は当たるから怖いなァ。あーあ、これじゃあの二人が言ったこと、否定できないじゃん」


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