□*Zero-零を受け継ぐ者-*
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此処は現実とは異なる世界。


「物語は終盤を迎えた」


本を開き、悲しい瞳をする少女。


「あとは…あの子が約束を果たすだけ…」


パタンと本を閉じる。


「彼は…全てを思い出す」


少女は静かに目を閉じた。


ザワッ


「!」


その時、世界の歪みを感じ取った。


「なんだ…?」


椅子から立ち上がる。


「一瞬…歪みが捻れた…」


コツ…ッ


「!」


靴を鳴らす音が聞こえた。


誰かが階段を登ってくる足音だ。



どういうことだ…?


この世界に誰かが入るのを


許可した覚えは無い…。


何故…空間が乱れた…?


それに…この足音…



少女は警戒心を張り巡らせ、階段がある方に目を向ける。


コツ…


コツ…


その足音はどんどん大きくなる。


「(霊圧を感じない…)」


少女に緊張が走る。


コツ…ッ


足音は入り口で止まった。


「?」


ガッ


「!」


急に伸びた手が入り口の壁を掴んだ。


そして姿を見せたのは…


「───よォ。」


「っ!?」


賤しい笑みを浮かべる伏見だった。


少女はとても驚いた顔を浮かべる。


「何で…キミが此処に…」


「何だよ、元気そうじゃねえか」


唖然とする少女に伏見は口角を上げて笑う。


「あ?こっちのお前って髪が長かったっけ?」


「…どうやって入った?」


「そんな怯えた顔すんなよ」


「近付くな!!」


歩み寄ろうとする伏見に声を張り上げる。


「おいおい…昔は一緒に遊んだ仲じゃねえか。
そんなに邪険にしなくてもいいんじゃねーの?」


「私の許可無しにこの世界に誰かが立ち入るなんてあり得ない…。この世界の管理者は私だ。それなのに…どうなってる!?」


「ぷっ、ははは…!
いいねぇ…その取り乱す顔!」


「………………」


「コレ、何だと思う?」


伏見が取り出したのは複雑な模様が描かれた円盤だ。


「…何だそれは?」


「この世界をお前の許可ナシに入れる道具だ」


「!?」


「作るのに随分と時間を掛けた。何度も失敗を繰り返して…やっと完成した。お前を殺しに行ける道具をな!」


伏見は刀を出現させる。


「さぁ、始めようぜ。
お前と俺だけの殺し合いを─────」



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