□*Volo-千の時を越えて- *
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「…さて、通して貰おうか」


目の前に現れたユーハバッハをとても冷たい瞳で見る。


「駆け寄らぬのか」


「!」


「兄の亡骸に」


「………………」


血を流して動かなくなった仲間の姿を無言で見つめる。


思い出すのは、仲間と交わした“約束”だった。


































『あのね…梨央ちゃん』


『どうした?』


『二人が来る間にみんなで考えたんだ』


『考えたって何を?』


『梨央ちゃん、お願いがあるの』


『最初で最後のお願い────……』


霙は真剣な表情で梨央に言った。


『霙達が殺されても、絶対に助けないで』


『!?』


『あたし達は隊長を護る為に命を掛けて戦うわ』


『だから梨央チャンも自分の役目を果たしてほしいっス』


『それが君の為であり、僕らの為でもある』


『何を…言っている?』


『きっと梨央ちゃんのことだから、霙達が危ない状況になれば自分の役目を捨ててまで霙達を護ってくれるんだと思う』


『でもそれじゃ…駄目なのよ』


『何がダメなの?仲間を護ることが私の役目だ。
キミ達を失えば私は…』


『梨央ちゃんの役目はユーハバッハを倒すこと。
“霙達を護って死ぬことじゃない”。そうでしょ?』


『キミ達を護って死ねるなら本望だよ』


『隊長は本当に優しいわ。
でも…死んだら何もかも終わりなの』


『ユーハバッハを倒すことも叶わなくなるんスよ』


『…悪いが…その頼みは…聞けない…』


『梨央ちゃん…』


『私は素晴らしい仲間に恵まれた。こんな…罪で汚れた私を隊長と慕ってくれて刀を取り共に戦ってくれた。それ以前に一緒に笑い合える仲間ができたことに喜びを感じていた。だから…失いたくないんだ…キミ達を失ってしまえば…私はまた…悲しみに囚われて…あの頃のように…同じ過ちを繰り返す…』


『梨央ちゃんはいつも霙達を護ってくれたね』


『!』


『だから今度は霙達に梨央ちゃんを護らせてほしいの』


『あたし達は隊長が大好きよ』


『梨央チャンのこと、信じてるっス』



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