□*Reunion-×××を望んだ少女は- *
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見えざる帝国(ヴァンデライヒ)による


瀞霊廷への侵攻から、三年。


混迷を極めた尸魂界(ソウル・ソサエティ)にも


ようやく日常が戻りつつあった。


「ねぇ、聞いた?」


「どうしたの?」


「今日の授業にこの霊術院の卒業生が来るんですって!」


今は亡き山本元柳斎重國が、護廷十三隊・鬼道衆・隠密機動の隊士となる人材を輩出するべく瀞霊廷内に設立した、二千年の歴史を誇る死神育成機関、真央霊術院。


その一画、全院生を収容可能な大講堂に夏季休暇を終えたばかりの生徒が集められていた。


髪をサイドアップにした少女・桐島未亜は自分の前に並んでいる小柄な少女に授業の内容を嬉しそうに伝える。


「卒業生かぁ…じゃあ私達の先輩だね」


優しそうな雰囲気を滲み出す少女は柔らかな笑みで笑う。


「どんな人が来るのかしら?」


「顔がニヤけてる」


「だってあの戦争で活躍した人よ!
きっと素晴らしい講演をしてくださるわ!」


「戦争…」


少女は不安そうに目を伏せる。


「そういえば見たわよ〜」


「え?」


「この間の試験よ!」


「それがどうかした?」


「一人だけ満点ってスゴいじゃない!」


「別にスゴくないよ。
たまたま出来ただけ」


「それがスゴいのよ!」


「そうかなぁ…」


食い気味に話す未亜に少女は苦笑する。


「模擬試験も一位だったでしょ」


「そうだね」


「何でそんなに強いの?
小さい頃に何か習ってたとか?」


「いや…小さい頃の記憶は…」


「あ、そっか…。
“気付いたら霊術院に通ってた”のよね…」


「うん。だから覚えてないんだ」


「ごめんなさい…」


「気にしないで」


未亜はシュンとして肩を落とす。


そんな彼女を気遣い、少女は宥める。


少女には、霊術院に通う以前の記憶が無い────。


未亜が言うように“気付いたら霊術院の生徒だった”のだ。自分はどのようにして生まれ、どんな理由で霊術院に通っているのか、何も覚えていない。


別に死神を目指しているわけでも無く、鬼道衆を目指しているわけでも無く、隠密機動を目指しているわけでも無い。何も目指すものが無いのだ。だから少女は同期である未亜と同じ死神の道を“ただなんとなく”目指すことにした。


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