□書類配り
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「書類を各隊の隊長本人に渡してほしいんじゃが…行けるかの?」


「なに遠慮してるんですか。
そんなの全然行けますよ」


「お主に何かあれば…」


「死んだ母に申し訳ないですか」


「……………………」


眉を下げた山本が悲しそうな表情を浮かべる。


「心配し過ぎですよ。それに売られた喧嘩は喜んで買います。存分に地獄を味わってやろうじゃないですか」


ニヤリと笑って書類を受け取ると流歌は二番隊舎へと赴いた。



























【二番隊舎】



「神崎です」


外から呼び掛けるが誰の応答もない。



無視か


わかってたけど


やることが幼稚だな



「…さっさと出て来いよ」


思わず本音が飛び出る。


「…仕方ない」


誰も開けてくれない為、扉に手を掛けて勝手に入ることにした。


ガラッ


足を踏み入れた瞬間…


バシャッ


「っ……!」


目の前に大量の水が飛んできた。


瞬時に反応して両腕で顔をガードしたが、庇いきれなかった髪や死覇装が濡れてしまった。


ポタポタと水滴が地面に滴る。


「チッ、何でガードすんだよ」


「そのまま濡れりゃ笑い者だったのによォ」


「空気読めないのかしら」


「つーか誰も開けてないのに勝手に入って来んなよ」


次々に冷たい視線と罵倒が浴びせられる。


だが、そんなことよりも自分に水を浴びせた奴を覆った両腕の隙間から睨み付ける流歌。



こいつが水かけやがったな…


ぶつけようのない怒りを抑え込む。


ここでキレてしまえば全てが水の泡だ。


流歌はぐっと堪える。


「失礼ですが砕蜂隊長はいますか」


「あァ?てめえみたいな強姦魔を隊長に会わせる訳ねえだろうが」


「証拠はあるんですか」


「何?」


「僕が冴島四席を刺した瞬間の証拠ですよ」


「そんなの目撃者に確認すれば済むことだろ」


「何か勘違いしてるようなのでご忠告しておきます」


「忠告…?」


「彼女が見たのは血を流して倒れている冴島四席です」


「!!」


「そして僕は血の付いたナイフを持っていただけ」


「そのナイフで桃香ちゃんを刺したんだろ!!」


「お前の指紋がナイフに残ってる筈だ!!」


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