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□カタウデの少女
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【零番隊舎】
「全員呼び出してすまない。実は冴島桃香に関する重大な情報を入手したから集まってもらった。雅、報告を頼む」
梨央の指示を受けて椅子から立ち上がった雅は手に持っていた報告書を読み上げる。
「梨央に頼まれて調査した結果、意外な事実が判明したんだ」
「意外な事実?」
「なァにー?」
「去年護廷を脱退した華月詩愛って人覚えてる?」
「華月詩愛?」
「知らないわ」
「霙知ってるー」
「オレも知ってるっス」
霙はリキュールを抱いたまま答えた。
琉生も短く手を挙げる。
「二人は知り合いなの?」
「同じ四番隊で働いてたもーん」
「オレは護廷に入隊してる女の子の顔と名前は全員覚えてるっス」
「最低だわクソ野郎」
「何でっスか!?」
「全員覚えてるとかキモすぎ」
「別にいいじゃないスか!詩調ちゃんだって男の名前ぐらい覚えるっしょ?」
「ゴミの名前なんか覚える価値も無いわ」
「世の中の男がすげー可哀想…」
不機嫌そうに毒吐いた詩調。
「それより彼女がどうかしたの?」
「実は…」
「誰かオレを慰めて欲しいっス!」
「よしよし琉生君」
「雅クン…っ!」
「少し静かにしててね。ハウス。」
「Σガーン!!」
「(無自覚だから怖いな…)」
梨央は笑みを浮かべて毒を吐く雅を見てそう思った。
「雅クンがオレを犬扱いするっス…」
「華月さんねー、体調不良を起こして仕方なく辞めちゃったのー」
「無視はヤメテ!!」
「体調不良?」
「頑張り過ぎて体壊しちゃったのー。あんなに卯ノ花隊長の役に立つのが嬉しいって張り切ってたのに」
落ち込む琉生を完全スルーして話を進めていく。
「ふむ…体調不良…」
「何か引っかかる?」
梨央は顎に手をやって考え込む。
「彼女は本当に体調不良が原因で辞めたのか?」
「どういう意味?」
「これは私の推測だが…もしかしたら彼女も被害者なのではないかと思ってね」
「華月詩愛が?」
「さすが梨央、鋭いね」
「やっぱりか」
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