小説(二次創作)


□ねこより
1ページ/1ページ



真選組一番隊隊長沖田総悟が、いつものように隊服で町をぶらついていると、細い路地の奥に見覚えのある後ろ姿があった。

(あれは……新八くん?)

何やらしゃがみ込んでゴソゴソとしているので、そっと近付く。のぞき込むとどうやら猫を撫でているようだった。

「……猫ですかィ」

「うわぁ!! びっくりした!!」

沖田の声に驚いた新八が大声を上げたせいで、猫は慌てて逃げて行った。

「ああ、逃げちゃった。沖田さんのせいですからね!」

可愛い子だったのに〜……
そう言って口を尖らせる新八を見て、ニッコリ笑い慰めるようにその丸っこい頭を撫でてみる。予想通り触り心地が良かった。

「……猫よりも、新八くんの方が可愛いですけどねィ」

新八の顔が見る間に赤くなる。

「な……あ……! じょ……冗談でごまかさないで下さい!! 沖田さんの馬鹿ッ!!」

もっと撫でていたかったが、捨て台詞を吐いて新八は走り去った。その後ろ姿を、少し淋し気な笑顔で見つめる。

「……別に冗談なんかじゃねェんだけどなァ……」

今夜にでもまた逢いに行こう。
そう沖田は思った。



...end

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ