小説(二次創作)
□ねこより
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真選組一番隊隊長沖田総悟が、いつものように隊服で町をぶらついていると、細い路地の奥に見覚えのある後ろ姿があった。
(あれは……新八くん?)
何やらしゃがみ込んでゴソゴソとしているので、そっと近付く。のぞき込むとどうやら猫を撫でているようだった。
「……猫ですかィ」
「うわぁ!! びっくりした!!」
沖田の声に驚いた新八が大声を上げたせいで、猫は慌てて逃げて行った。
「ああ、逃げちゃった。沖田さんのせいですからね!」
可愛い子だったのに〜……
そう言って口を尖らせる新八を見て、ニッコリ笑い慰めるようにその丸っこい頭を撫でてみる。予想通り触り心地が良かった。
「……猫よりも、新八くんの方が可愛いですけどねィ」
新八の顔が見る間に赤くなる。
「な……あ……! じょ……冗談でごまかさないで下さい!! 沖田さんの馬鹿ッ!!」
もっと撫でていたかったが、捨て台詞を吐いて新八は走り去った。その後ろ姿を、少し淋し気な笑顔で見つめる。
「……別に冗談なんかじゃねェんだけどなァ……」
今夜にでもまた逢いに行こう。
そう沖田は思った。
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