図書館

□さくせん
1ページ/1ページ




あー



バスケやりてぇ














日曜の午後、



誠凛高校のジャージを着た半分赤毛の男───火神大我はそんな欲求を満たすためにいつもの場所にいった。



よく俺がバスケの練習で使っていて、いつもは大体空いている。



あまり人が通らないからだろうか。



部活帰りで疲れているはずの体をバスケの為に起こし、向かっていた。



が、



ダンダンとボールのつく音が嫌でも聞こえてきた。



しゃーねえな。また今度にすっか。



俺はそう思いその場を後にしようとした瞬間、



「火神ー!!バスケしよー、バスケ。」



「うおっ!?青峰!?」



上機嫌でこちらに走ってきた青い髪の毛の男───青峰大輝は俺の背中にどんっと乗っかってきた。



「お前どうしてここに...」



「バスケがしたかったから。」



「っつか離れろ。」



「じゃあバスケしねぇ?」



おい、言葉のキャッチボールというものをしらんのか。



どうやらここでバスケをやっていたのは青峰らしい。



でも、まぁバスケできるんだったら



「やってやろうじゃん。本気でこいよ。」



「あ、その前に。」



気付いたように青峰が火神の背中からぴょんっと離れると今度は火神の目の前に来た。



「なんだよ、どっちなんだよ。」



「お前んちってすぐそこだろ?」



「は?そだけど。



ってか早くバスケしようぜ。」



「あー、そうなんだけどさ。明日にしねえか?バスケ。」



は...?



コイツなにいってんの?



「バスケしようって誘ったのはお前だろうが。」



「いやーそーなんだけどなー。」



そう言いながら青峰が俺に近づいてくる。












「今日はお前とセックスしたい気分なんだよな。」















うーん。



お前のことマジで心配になったわ。



「青峰。精神内科だったら次の駅んとこに行ったほうがいいぞ。ここ、ヤブ医者らしいからな。」



「あぁ、そうか。なら俺はお前んち行くかな。」



「...いやいやいやいやいやいや



おかしいだろ、お前。なんでそうなったんだ。欲求不満すぎだろが。」



もともとコイツはなにを言い出すのかわからない奴だが、ここまでとは...



「大体、お前そんな、その、それをするなんざ男同士がすることじゃ───」



「黙ってろ。」



俺が言葉をだす暇もなく、なにかが唇に触れた。



「!!!!!」



こいつこいつこいつこいつ



キス ...とか...



「んっ、ふぅ...」



舌まで...



「やめっ、あおみ...ね...」



「おー、続きは家でやるってか。」



やっと、離してくれた...じゃねえ!!



「ちげーよ!!その、なんで、俺なんかに...」



「なんだよ。お前鈍感ぶってんじゃねーぞ。



まあそんなとこもいいけどな。」



「はあ!?意味わかんねーことほざいてんじゃねーぞ!!



とにかく俺んちには行かせねーからな!!!」



もう頭が真っ白だった。



男から(それも大嫌いな男から)キスされたんだ。



そりゃ焦んだろ。普通は!!



今日は青峰の言っている意味がわからん。



いきなり言うか、あんなこと。



まぁ、家にいれなければ大丈夫だろう。







俺は安心していた、







あの挑発の言葉が出るまでは。







「あれぇ〜?火神くん。



もしかして怖いのかな〜?」







ピキッ







大丈夫大丈夫。







そんなことでキレる俺じゃねえよ。







「帰国子女だっていうからそれぐらいは普通なんじゃないのかな〜。



あっ、そうか。火神くんはそんなことできない臆病な子供なんだね〜。」



「おい、ゴラァてめぇ。



黙ってりゃ好き勝手言いやがって。



喧嘩売ってんのか?あぁ?







やってやろうじゃんか。今すぐ俺んちこい。」








言ってしまった。







怒りに身を任せて言ってしまった。







「おー。そうこなくっちゃー。」







結局青峰の手のひらで踊らされてたことを







事件後気付いたことはまだ先のことである。


























──────End

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ