キミといただきます。

□やきにく
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俺の右手には大量の野菜が入ったビニール袋が揺れている






たまにはお友達を家に呼んだら?
一人暮らしも大変だろうから、ご飯くらい食べさせるわよ。

ビニール袋にわけた野菜を俺に手渡しながら母さんが言った言葉を思い出す。



はぁ…………ぜってーめんどくさいことになるだろ。
名前が女だってしったら面倒だし

ニヤニヤしてからかってくるに違いない。





とりあえず黙っているにこしたことはないと

あまり深く考えずに名前の家へと歩いた











『おーしょうたぁ。待ってた……………よ。』


名前が袋をみて固まる



「ん。貰いものだけど、お前にやるよ。いつも飯食わせて貰ってるし。」


ほら。と袋を差し出すと



『あ。ありがとうございます!!
翔太様!!!というか翔太お母様!!!
よっしゃ。野菜野菜野菜



かなり異常なほどの喜び方だ

まぁよかった





『このお野菜ちゃん達を堪能するために
今日の晩御飯は焼肉にしよう!!ね!!!』


満面の笑顔を向ける名前にちょっと照れた






つか一人暮らしで
焼肉すんのか?
油とか飛ぶんじゃ………







『よーし。そうと決まればお肉ちゃん買いに行くぞー!!
行こ。翔太。』














名前いわく
父親に室内焼肉の術を叩きこまれたんだとか。
一体どんな家庭だよ。笑


扇風機と換気扇を駆使すればいいらしい









近くのスーパーまで二人で歩く。
名前は焼肉のセッティングについて
扇風機の向きが!!とか語っていた


なんだか必死な感じが凄く面白くて俺は笑ってしまった






スーパーに入ると一目散に肉コーナーへ
せっかくだからとちょっといい肉にした。
今日は俺の奢りだし。笑



食後のデザートってことでアイスを選ぶ



名前はオレオのアイスか
バニラで迷っていて

俺の奢りだと言うと

ハーゲンダッシュも視野に入れてさらに迷いだした


子供みたいに真剣に迷う姿が可愛くて
俺はついつい頬がゆるむ




ふと顔をあげると











目線が合った







「あら?翔太じゃない
あんた仕事終わりな…………」







直美さん………
(昔、直美おばさんと呼んだらお姉さんでしょ。と凄い形相で言われ今ではさん付け。)

俺の背中に嫌な汗が流れる



直美さんが名前と俺を交互に見る


ここで
いいのか悪いのか
名前が気づいて
アイス選びを中断して
こっちを向いた


直美さんは口を開いたまま名前を凝視していた


「……あ゛。
えと。俺の友達の名前、
んでこっちが親戚の直美さん……」


とりあえず紹介

俺の顔は引き攣っているに違いない



『あ。苗字名前です。こんにちは。』

名前も慌てて笑顔で挨拶をする


「あら………もしかして叶先生のところの名前ちゃん?
なんだ。もう翔太ったら手出してたのね………
翔太と仲良くしてやってね。」


直美さんのニヤニヤが恐ろしい。


『あ。はい。』


「じゃあね、翔太に名前ちゃん。
翔太……来週の土曜日楽しみだわ。」




来週の土曜日とは夏の親戚の集まりで

夏希だってくるし………




俺…………終わった

絶対カモにされるじゃねーか!!






結局半ばやけくそ気味に
俺もハーゲンダッシュにした







「……絶対今度からかわれる。」

『だ。大丈夫だって……
ほら。お肉焼けたよぉ〜』


名前がちょっと困ったように笑いながら
俺の皿に焼けた肉を入れる



『美味しいよ!ほら。ね。』




なんだか名前の顔をみてたら力が抜けた



「ん。うまい。」


俺が笑うと


名前も笑った。






ぁ…………確実に親戚連中に弄られるんだろうなぁ


もぐもぐと
美味そうに茄子を頬張る名前をみながら思う


しかも直美さんだし……



あ゛ーもうっ


俺はなるべく考えないようにして

肉にがっついた



今日も名前と食べる飯は美味い







******


翔太……直美おばさんを
直美さんと呼ぶ。の巻き。笑
昔脅されてそこから
さん付けで呼んでたりしてたら
面白いかもと勝手に捏造。ぷ


あー次は親戚連中に弄られればいいさ。

翔太と名前ちゃんがいちゃこらする日は来るのだろうか………
翔太ヘタレ。笑
てか翔太って……おふくろ?母さん?……お試し思案中。ぷ

読んでいただきありがとうございました。
 

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