キミに伝えたくて

□変わる瞬間2
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「皮肉なもんだよな
俐空の病気もさ」


大会の帰り道、
才我にこんなことを言われた。


「好きな人2人いるようなもんじゃん?
そんなの辛すぎるよ」


「確かに、
玲奈と朔夜は可哀想だよね」


もし才我がそうだったら ともは耐えられない…。


好きな人が自分を見てくれないなんて寂しいよ


例えそれが一瞬の事でも

目の前で自分以外の人を抱きしめたりキスしてるのを見たら
ともはどうなるんだろう

想像がつかない。


2人は強いなって思うよ

才我はどうなんだろう

やっぱり嫌だよね…。


「どうした?」


才我に見つめられた

と言うよりは
多分ともがずっと見てたんだ


「別に…」

「俺さ、
もしともちんが俐空みたいになっても
好きで居続けられるよ」


「え?」



今まさにともが思ってたことだ


「その一瞬以外がずっと俺を好きでいてくれるならね」


「あっそ」


「あぁ…」


また冷たい態度とっちゃった…

本当は嬉しいのに…。


苦笑いをした才我は

それから家に着くまでしゃべらなくて、

家に着いてからは寝室に入ってった。


流石のともも

自分で可愛くないって思ったから

寝室を覗く。


才我はうつ伏せになって寝ていた。


「才我…?」


「ん…」


怒ってるのかな?

いつもより返事が冷たい

でもいつも同じことしてるんだよね…。


「才我ごめん…」

「何が」


「冷たくして…
ともかわいくなかったよね…」

「……。」


何も言ってくれない

やっぱり怒ってるんだ。

どうしよっ

何だか涙出てきた…


「っ…」


「ともちん?」


泣いてるのに気づいたのか
才我がバッと顔を上げた


「泣いてるの?」


「泣いて…な…いっ」


なんで涙出てくるのっ

意味わかんない…


背を向けると

フワッ

と才我に抱きしめられた


「ごめん…
泣かせるつもりはなかったんだ」


「泣いてないって言ってるじゃんバカ…」


もうっまた強がって

バカなのはとものだよ


「ともちん
俺は全部わかってるから」

「才我ぁ」


振り向いて抱きつけば優しく頭を撫でてくれる


「好きだよ」


「ともも好き」


才我は暖かい


包まれてるみたいで安心する


いつかは強がらずに
ちゃんと伝えられたらいいな

ともの本当の気持ち

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