キミに伝えたくて

□学部旅行7
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仕事から帰ってきてアパートに戻るともう玲奈はいた。


「ただいま」


「お、おかえり」


「ん?
なんかあった?」


「えっ…な、何もないよ」


「そっか…」


明らかに様子がおかしい …

何かを隠してるって感じがする


やましいことでもあるのか?

とも考えたけど玲奈に限ってそれはないと思う。


だとしたら何だ…


〜〜♪〜〜♪


誰だよこんなときにっ


「もしもし…」


『あ、俐空?
俺だよー』


電話の相手は優だった。


「なんかようか?」


『お前ら奈良でキスしたじゃん?
玲奈気にしてるみたいだったぜ』


「なんで?」


『朔夜から聞いたんだけどさぁ
玲奈は俐空が憐音って事知らないから
他の奴とキスしたって後悔してんだと』


あ〜、それか

玲奈の様子がおかしい理由は


『正体バラせとはいわねぇけど
安心させてやれ』


「わかった
わざわざありがとな」


『別にいいよ
じゃあな』


優に教えてもらえたのは良いけど

問題はどうやって安心させるかだな。


“憐音は俺だから心配すんな”

とは言えないし…


「俐空」


「はい!」


「どうしたの?
そんな返事して…」


「いや、何でもないから気にすんな」


考えてる最中に呼ばれたから変に真面目になっちゃったじゃんか!


「あのね…」


「ん?」


「私、キスしたの…」


「憐音とだろ?」


「うん…
えっ、知ってたの?」


「優がさっき教えてくれた」


そういうと急に涙目になって俯かれた。


「ごめんなさいっ」


「一度や二度の間違いは誰にでもあるよ
だから泣くなって」


頬に流れる涙を拭ってやると今度は抱きついてきた。


「憐音と俐空が似てて…
ヒック…私寂しくてっ…
だからッ…」


「もういいよ
わかったから…」


こんなことで苦しむ玲奈を見ると俺も苦しい…


自分が誰か教えてやればこんなことにはならない


でも教えたら教えたで違う苦しみがくる。


どちらにしても教えてはやれないっ


「ひっく…ごめんっ…」


頭を撫でてやっても玲奈の涙は止まらない。


首元の服を掴んで泣いてる。


「玲奈…」


どうしよう…

玲奈の涙が止まる方法はないのかよっ


「怒ってないからさ
泣きやんでくれよ…」



頬に手を添えて顔を上げさせると

玲奈の目が真っ赤に染まっていた。


だから何だか申し訳なくてそっとキスをした。


「ふえっ…」


「泣かないで玲奈…」


目やおでこ、
頬にもちろん唇にもキスをひたすら落とした。


「ん…俐空…」


「泣き止んだ?」


「うん…」


「俺は笑顔の玲奈が好きだよ」


その後の笑顔は
世界一可愛かった。

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