キミに伝えたくて

□きっかけは…
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高校生に恋するなんて、
流石の篠田も自分では思ってなかった。


確かに若い子は好きだし、

年下も可愛いから好き…


けど10歳も年下は考えてなかった。


初めて俐空にあったのは入学式、

玲奈を見に来てたんだと思う。


あの日私は普通に大学に来て入学式を見ていた。


みんな緊張してるな〜


毎年新入生はガチガチ、

それを見るのが楽しみだったりもする。


悪趣味とかじゃないよ?


話だけの入学式は長かったけど、

みんなを見ていればすぐだった。


職場の医務室に戻ると誰かがベッドにいる。


入学式中だったら私が連れてくはずだし、

始まる前に人はいない。


鍵もかけたはずなのにあいてる…



「あの〜…」



このままにしておくわけにはいかないから

そっと近づいてカーテンを開けた。



「あ…」


「よっ、せんせ」



何故か高校生がいて、

元気に挨拶してきた。



「なにやってるの?」


「彼女待ってんだ
入学式長いし暇だからさ」


「でもここ鍵締まってたよね」


「あ〜
勝手に開けてごめんな
ここしかなくてさ」


「ここだけ?」


「他の場所は大学の人に見つかるだろ?
けどここは人が来なくて安全なんだ」



ニコッと笑ったその笑顔に知らないうちにやられていたのかも



「高校生が来ていい場所じゃないんだけどなぁ」


「堅いこと言うなって
彼女待ってる間だけいいじゃん」


「失礼します…」



彼がそう言ったと同時に新入生が入ってきた。



「玲奈!
終わったのか?」


「うん
あの…、
勝手にすいません…」


「いいよ暇だからね」


「ありがとうございます俐空行こ?」


「そうだな
あ、せんせっ」


「なに?」


「俺今枝俐空
また来るから覚えといて」



彼女と一緒に帰って行った俐空


あの一瞬の笑顔

そして彼女に見せる優しい表情


私は今日のこの一時で

今枝俐空に完全に惚れてしまった。

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