トライアングル

□第11章
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リク「俺あっちゃんと別れたよ。」



乙「……は?」



一瞬リクが何言ってるのかわからなかった。



リク「前に乙輝に言ったでしょ?
ゆうちゃんが好きだからあっちゃんとはいずれ別れるって。」


乙「お前…本気なんだな…。」


リク「本気だよ。」



まさか本当に別れるなんて思っても見なかった。



いや、違うな

別れて欲しくないって俺が願ってたんだ。



リクとあっちゃんが別れたらリクの障害は何もなくなる


正々堂々大っぴらに優子にアタックできるようになる


俺はそれが嫌だった。



優子がリクのこと好きってわかってて両想いなのに付き合わないのはあっちゃんがいたから


お互い遮るものはもうなにもない


あっちゃんがいることでどこか安心してたんだ。



乙「でもなんで今なんだ?
優子に気持ちが行ってる時点で別れたらよかったじゃねぇか。」


リク「乙輝に危機感を覚えたから。」


乙「危機感?」


リク「大会の日
朝ゆうちゃんがいたはずなのに試合が終わった時そこにもうゆうちゃんはいなかった。
あっちゃんに聞いたら乙輝のところに走ってったって…。」


乙「………。」


リク「正直驚いたよ
俺のとこに来てくれた時点でもうゆうちゃんは乙輝のとこに行かないって思ってたから。」


乙「リク…。」


リク「それで思ったんだ
このままじゃいけないって。
今のまま付き合いながらゆうちゃんにアタックしても意味がない
いつかゆうちゃんが乙輝を好きになる前に俺が止めなきゃって。」



ここに来てリクの本気さが身にしみてわかるなんて


油断してた俺は大馬鹿もんだ。



優子にキスをして告白したあの時からもう俺は今まで封じ込めてきた想いを止めることができない


優子にはリクと幸せになれって言ったけど


こうやってリクと話すとやっぱりあいつを渡したくない。



リク「もう乙輝に遠慮なんかしないから。」


乙「あいつは…、優子は俺のものだ
お前には渡さない。」


リク「フッ…
やっと本気になってくれたね…
でも俺だって乙輝には渡さないから。」



リクはそう言ってこの場を去って行った。



乙「はぁー。」



とはいえ応援しときながらやっぱり渡したくないなんて俺も勝手だな。



でもあの日から優子に対する気持ちが溢れ出して止まらない


近くにいると触れたくなるしあの笑顔を見せられるとまたキスしそうになる


風邪引いてお見舞いに来てくれた時なんでまるで生地獄だった。



乙「とにかく優子の前ではいつも通りなにもなかったように振る舞おう
けどリクには負けねぇ…。」



自分でも矛盾してるのはわかってる


応援しながら邪魔するなんてなにがしたいんだか…。



乙「優子が俺のこと好きでいてくれたらこんな思いしなくていいのにな…。」



なんて、

都合のいいことねぇか…。



乙「あっちゃん大丈夫かな…。」



優子が好きとかリクには負けないとかそんなことの前に俺はあの3人が好きなんだよな


優子にもリクにもあっちゃんにも笑っててほしい


その思いがどこかにあるから本気で優子を奪いにいけないんだ


強がりなあっちゃんはリクの前では泣かなかっただろうな


きっと今も1人で泣いてる。



そう考えると探さずにはいられなかった。





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