トライアングル

□第26章
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ラスト夏祭の夜

乙輝がたかみなの頭を撫でて抱きしめキスをしてるとこを見てから

私の心は醜い嫉妬心で溢れてる

最初はこんなことなんでもなかった。


乙輝が誰にどうしようと優しいなって思ってただけ

でも自分が乙輝を好きって自覚し始めてからは優しいと思うと同時に嫉妬心が生まれた。


そこから告白されて好きだから私にしてくれてたのかなって

頭を撫でてくれるのも抱きしめてくれるのもキスしてくれるのも

全部私だけだと思って舞い上がってた。


でもあの日それを見てしまた私は心の中がぐちゃぐちゃになって

醜い嫉妬心の塊を乙輝にぶつけてしまった。


誰でもいいなんて思ってないのに…

そんなことする人じゃないって1番私がわかってるのに….

感情が高ぶって溢れ出した言葉は滝のように止まることを知らない

この口が止まった時の乙輝の表情は数日経った今でも鮮明に覚えてる

泣きそうで苦しそうで怒ったようなそんな顔

そうさせたのは自分なのにね…。



「はぁ〜…。」


「優子ちゃんもため息?」



恐らく乙輝からも話を聞かされたであろう佑紀くんは苦笑いしてた。



「だって…。」


「お互い言いすぎちゃったんだね。」


「うん…。」


「乙輝とはまだ話してないの?」


「あの日から一回も喋ってない…。」



話さないっていうか学校以外では会ってすらない

登下校も別々ですれ違っても気まずくてお互い顔をそらしてしまう

もうあの太陽みたいな笑顔は見られないのかな…。



「どうしよ…。」


「謝るしかないんじゃない?」



そんなことわかってる

わかってるけどどうしても行動に移せない

またあの表情をさせてしまうんじゃないかって

そう思ったら怖くて話しかけることなんてできなかった。



「お互い考えてることは同じだと思うんだけどなぁ。」


「え…?」


「でも今回ばかりは俺は仲裁に入らないでおくよ
これは2人の問題だから。」



2人の問題…

ううん、これは私の問題

乙輝はなにも悪くないんだから勇気を振り絞らないと。



「はぁ〜…。」


「もう、またため息
俺まで気が滅入っちゃうよ。」



2人にため息ばかり聞かされてる佑紀くんは心底うんざりしてた。




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