トライアングル

□第39章
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秋といえば?と聞かれれば連想することは沢山ある

食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋

体育祭、文化祭、その他諸々

そんな数ある中俺が一番に思い浮かぶのは優子の誕生日

10月17日の今日デートを兼ねて16歳になった彼女を祝う。



「よし、完璧だな…。」



服装も姉ちゃんたちのチェック済み

優子の家の玄関先で彼女を待った。



「おはよう乙輝!
待たせちゃった?」


「今来たとこだよ
なんか今日可愛いな。」


「そう?
これにゃんにゃんと買い物行って選んだんだぁ
乙輝もその服似合ってるよ?」


「まぁ俺センスいいから。」


「さすがあの2人の弟だね。」


「まぁな、じゃあ行こうぜ。」



チェックのことは隠し手を繋いで私服の優子にドキドキしながら目的地へと向かった。



「なんか今日混んでるな。」


「ライブでもあるんじゃない?
日曜日だしみんなどっか行くんだよ。」



移動中の車内は休日もあって混雑してる

優子小さいから潰されないか心配だ…。



「優子、ここおいで。」



小さな隙間に彼女を引き込むと扉と俺の間にスッポリ収まった。



「どうしたの?」


「なんか潰れそうだったから。」


「これくらい大丈夫なのに。」



潰れそうだったってのは確かだけどそれはあくまで表向き

ほんとは人混みから痴漢を守るため

周りに男ばっかいるとそれが気になってしょうがない。



「乙輝。」


「ん?」


「心臓凄い音なってるけど大丈夫?」



満員電車での密着度は高い

優子が苦しくないように隙間を空けてはいるけど可愛い顔が真下にあって豊満な胸が腹に当たる

この状況でドキドキせずになんかいられるか。



「乙輝?」


「なんでもない
優子こそ顔ちょっと赤くないか?」


「そ、そんな事ないよっ。」



さっきから下を向いて顔を上げない

顔が赤いかと思えば俺の服の端を掴んでもたれかかってくる。



「大丈夫か?」


「うん、大丈夫…。」



可愛い彼女にすでにやられそう

ここでイチャイチャする勇気は俺にはない

でもこの雰囲気は嫌いじゃない。


数分電車に揺られ扉が開いた瞬間彼女の手を引いてすぐに外に出た。





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