ヤンキーの俺と清楚な彼女

□竜の日
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玲奈side〜


今日由紀ちゃんの家に行っても蓮がいなかったので冴江君たちと一緒に行った。

由紀ちゃんも蓮がいついなくなったのか知らないらしくちょっとした行方不明。


「どこ行っちゃったんだろ…」


思わずため息が漏れる


「またため息?」

「由紀ちゃん…」


自分が知らないうちに結構ため息ついてたみたい


「いつもなら連絡してくれるのにと思って」

「蓮がいなくなるのはたまにあるけど、
連絡ぐらいはしてほしいよね」

「うん…」


由紀ちゃんと話していると急に廊下が騒がしくなった。


“今日って蓮君いなかったよね?”

“うん”

“しかも今日は終業式”

“ってことは…”

『竜の日だ!』


ひとつの女の子グループたちが言うと、

段々まわりにそのことが回り始めた。

というかあの女の子達蓮がいるか毎日チェックしてるんだ

相変わらずモテるんだなぁ…


ちょっと複雑な気分になっていると

優希君、陽菜、冴江君がやってきた。


「聞いたか?
今日竜の日なんだってよ」

「竜の日?」

「なんだ玲奈知らねぇのか?
この学校の式典は竜の日って言われてヤンキーに絡まれやすい日なんだ」


そういえば聞いたことあったなぁ

ニュースでもいつも誰かしら捕まってたし。


「なんで竜の日って言うんだろうね?」

「竜の付く族が絡むから竜の日なんだって」

「確か蓮の族って黒龍だろ?
あいつなにかしらねぇのかよ」

「俺前聞いてみたんだけどなんにも教えてくれなくてさぁ。
ただ竜の日はあんまり出歩かない方が良いとしか言われなかった」

「族のことに関しては教えてくれねぇんだよなぁ」

黒龍っていうのにいるんだ。

蓮自分のことは何も言ってくれないんだよね…


「俺らって蓮のこと知ってるつもりでも何もしらねぇんだな…」

「りんちゃんくらいしかわからないんじゃない?」

「ううん、私も知らないこと沢山あるよ
ヤンキー集団のことに関しては一切わからないし…」


由紀ちゃんでも分からないことあるんだ…

そりゃ私が知ってるわけ無いよね…


「まぁ玲奈達も気をつけろよ?
竜の日はあまり出歩かない方が良いぜ」

「わかった」


『始業式を始めますので体育館に集まってください』


放送がかかって本当は体育館に行かなきゃいけないんだけど、

なんだか行く気になれなくて私は初のサボリをしてしまった。


保険室に行くと麻里子先生がいた。


「あれ、珍しいお客さんだね」

「今日蓮がいなくて…」

「それで行く気になれなくてここに来たと」

「すいません…」

「いいよ〜
蓮なんか常習犯だからね」

「え…」


常習犯ってことはいつも来てるってこと…?


「…いつも来てるんですか?」

「毎日ねぇ
来ない日はないんじゃないかな」

「そうですか…」


やっぱり…



「蓮が心配?」

「いえ…」

「でも蓮可愛いよね
前なんかキスしようとしたら顔真っ赤に染めちゃってさ」

「キス…?」

「押し倒した時間近で見た顔は格好良かったけどね」


嬉しそうに話す麻里子先生とは逆に、

自分でも眉間にしわが寄るのが分かった。


「怒ってる?」

「いえ…」

「眉間にしわ寄ってるけど?」

「…先生は…」

「ん?」

「先生は蓮が好きなんですか?」

「好きだよ」

「っ…」

「って言ったらどうする?」

「どうもしませんっ」

「なら今度からは手加減しないよ?
蓮を玲奈から奪うつもりでいくから」

「わかりました」


私は失礼しますとだけ言って保険室を出た。

初めて誰にも蓮を渡したくないと思って、

蓮に今すぐにでも会いたくなった。

だから私は竜の日なんか忘れて学校を出た。
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