キミに伝えたくて2

□恋人にはなれない2
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私が医務室に来たとき彼はいつものベッドにいた。



「少年、
また無断で入ったな?



「うるせ…」


「まぁ良いんだけど。
もう帰るんでしょ?
玲奈と蒼空君は?」


「蒼空は優のところにいる…」


「玲奈は?」


「……。」



おかしいね…

いつもならもうすぐ来るってしっぽ振ってんのに

玲奈と何かあったか…。



「喧嘩したの?」


「違う…。」


「浮気現場見られた?」


「違う…」


「じゃあ逆に見たとか?」


「……。」



おちゃらけて言った篠田とは逆に俐空は黙ったまま


直球で核心突いちゃったってわけ


ちょっと体震えてるし。



「本当に見ちゃったの…?」


「あぁ…」


「2人がキスしてるところを?」


「俺見て慌てて離れるくらいだ
間違いねぇよ…」



今まで私は俐空のこんな姿見たことがない


玲奈のことが好きだから苦しんでるのはわかる



「俐空…」


「もっと繋ぎ止めとくべきだった…」



頭を撫でると頬に涙が伝った。


悔しそうに唇を噛み締めて…

そんな俐空を見ていられなかった…



「俐空…」



私はそっと俐空の唇に自分の唇を重ねた。



「……!!」



驚いた俐空と視線が絡み合う


そっと離すと篠田を見つめてきた。


当たり前のことだけど



「ごめんね
けど見てられなかったの」


「え…?」


「辛そうな俐空を…」


「麻里子…」



しばらく妙な雰囲気に包まれる


するといきなり俐空が腕を引っ張って篠田の上に跨がってきた。



「り、俐空…?」


「憂さ晴らしでもいいか…?」


「え?」


「今だけは…
あの2人を忘れたい…」



悲しそうな瞳を見てしまうと何も言えない


私は返事の代わりに頭を引き寄せてもう一度キスをした。
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