So long

□第2話
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『りゅぅぅやぁぁぁ!!』


「…ん……。」



朝っぱらからバカでかい声で名前を呼ばれた。


もちろん兄貴の声じゃない

しかも聞こえてきたのは家の中ではなく外から

こういうことすんのはあいつしかいない。



『りゅぅぅやぁぁぁ!!』



窓を開けて下を見ると俺の親友宮澤佐玖が立っていた。


毎週月木意外は朝家に来て俺の名前を叫び出す

寝坊しなくていいけど近所迷惑だからやめてほしい。



「朝っぱらからうっせぇぞ佐玖…。」


「おっ!
やっと起きたか!」


「こんなでけぇ声で叫ばれれば誰でも起きるっつーの…。」


「学校行こうぜ!」


「今起きたばっかで行けるかよ。
中入って待っててくれ。」


「わかった!」



佐玖が俺を起こしに来るのには理由がある

月木意外は佐玖の大好きな先生が朝校門に立ってるからだ。


その先生と少しでも長く話したいから早く行きたいんだと

一人で行けばいいのに恥ずかしいという理由で俺は道ずれにされている

ほんと迷惑な奴だよ。



「琉夜準備できた!?」


「見てわかるだろ?
まだ着替えてる途中。」


「早くっ早くっ!」


「まだ8時だぞ?
先生もまだいねぇよ。」


「じゃあ待ち伏せしよ!」


「それはストーカーだ。」



佐玖の話に相槌を打ちながら準備を進めていく

顔洗ったりするのにもついてくるのはちょっと鬱陶しいけどな…。



「そういえば今日まりちゃん来る日じゃん。」


「あれ?
そうだったっけ?」


「彼女の授業くらい覚えててやれよ。」


「朝だから頭働かねぇだけ。」



佐玖は俺が麻里子と付き合ってるのを知っている

最初言うの迷ったけど何でも話すって約束したから話した。


そしたら自分のことみたいに喜んでくれて

今じゃ記念日を俺より覚えてる。



「まりちゃんの授業楽しいからいいよなぁ〜。」


「まぁな。」



けどクラスの野郎の目が気に入らない

麻里子をいやらしい目で見てムカつく

俺の彼女なのにさ…。


先生やってる以上仕方のないことでもあるけど。



「よし、行くか。」


「先生待っててねぇ!」



家を出て学校へ向かう

その間ずっと大好きな先生の話を聞かされるのが俺の日課

半分以上聞き流してるのはここだけの秘密。





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