So long

□第15話
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優斗side


「琉夜飯できたぞー!」


「いらねー…。」


「ったく…。」




琉夜が病院で寿命があと2年と告げられて帰ってきた日からあいつは部屋に閉じこもることが多くなった。


部活があってもしばらくは安静って言われてるみたいで憂さ晴らしの仕様がないんだろう

せっかくの夏休みだってのに麻里ちゃんとも会おうとしねぇし…。



「ゆうちゃん…。」


「ん?」


「りゅうちゃん大丈夫かな…?」


「大丈夫じゃ…ねぇだろうな…。」



俺だって琉夜から結果を聞かされた時一瞬目の前が真っ暗になった。


あと2年だなんて短すぎる

ショックすぎてその日は一日中何も考えられなかった。


けど俺よりもショックなのは本人だよな…

つい最近まで小説やドラマだけの世界だと思ってたことが自分に起きてんだ

そりゃ部屋に閉じこもりたくもなるぜ…

弟が苦しんでるってのに俺にしてやれることなんかねぇのかよっ。



「このまま閉じ篭ってたらもっと悪くなっちゃうよね…。」


「あいつは俺と同じで昔から外で遊ぶタイプの人間だからな
あんな琉夜久しぶりに見た。」


「なんとか元気づけてあげたいけど麻里ちゃんと2人きりだと逆効果だよね?」


「あいつ麻里ちゃんには病気のこと言ってねぇからなぁ
まぁ察してはいそうだけど。」




この前も麻里ちゃんから琉夜が泣いてたって聞かされたしなー

あの2人のためにもなんかないかなんか…。



「海でも行くか…。」


「ゆうちゃん連れてってくれるの?」


「4人でちょっと離れたとこまで行ってみるか!
あいつアウトドア派だし
琉夜も元気になって俺も陽菜の水着見られて一石二鳥!」


「陽菜の水着が目当てなだけでしょ…。」


「けど琉夜も麻里ちゃんの水着姿見られてるだろ?
彼女の水着姿見て元気にならねぇ男なんていねぇんだよ!」


「まぁりゅうちゃんが元気になるならいいけど…。」



外に出られて彼女の水着も見れる

琉夜も元気になっていい事づくし!



「よし、
陽菜は麻里ちゃんに予定聞いといて。」


「はーい。」



俺はあいつに伝えてくるか…

2階の弟の部屋をいきなり開ければ案の定ベッドに寝転がりうな垂れていた。




「おい琉夜、
今度海行くから用意しとけ。」


「行きたくねぇよ海なんて…。」


「行きたくなくても行くんだよ
麻里ちゃんの水着みたくねぇのか?」


「………別に。」



あ、こいつ今悩んだな。




「どうせ行ったって何もかわらねぇし…。」


「うるせぇ
そんなもん行ってみなきゃわかんねぇだろうが
閉じ篭ってるからそんな考えになんだよ。」


「兄貴…。」


「お前がなんて言おうが海に行く
準備しとけ!」


「えぇぇ…。」




半ば強引に海に行くことを伝え拒否する前に扉を閉めた。


これで少しでも元気になってくれれば俺はそれでいい。





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