So long

□第23章
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「おチビ今日どうしたの?」


「え?」


「授業中考え事ばっかりしてたでしょ。」


「そうだっけ?」


「そうじゃなきゃチョーク投げたりしないよ
おチビのせいで新品が殆どなくなっちゃったじゃない。」



そう言いチョークの跡が残る俺のデコを弾いた。


そんなこと言うなら投げなきゃいいのに…

おかげで俺の顔は今までの中で一番チョークの粉まみれだ。



「ただでさえ隠し事してるのにまたするわけ?」



俺のことを後ろからぎゅっと抱きしめ耳元で言われたら言わないわけにいかない

まぁ別に隠してるわけでもないけど。



「俺がなにしたいのか考えてたんだ。」


「おチビのしたいこと?」


「やらなきゃいけないことはたくさんあるのにやりたいことは見当たらない
サッカーはしたいこととしなきゃいけないことが両方って感じだし。」


「篠田は?」


「麻里子以外でだよ
麻里子にはしたいことしかしてないから。」



そう言いキスをすると嬉しそうに笑ってくれた。



「なんで急にそんなこと考えだしたの?」


「なんとなく
サッカー以外にもしたいことあったらなって思ってさ。」



またいつできなくなるかわからない

この前できなくなってわかったんだ

サッカーを無くした俺には何もない

したいことがなくなって麻里子にも話せないから俺は部屋に引きこもった。


今度はそうならないためになにかしたいことを見つけたい

病気だからなんて麻里子には口が裂けても言えないけどな。



「勉強は?」


「却下。」


「わがまま。」


「好きだったら赤点なんか取ってねぇよ。」


「無理に探そうとしなくてもいいんじゃない?
そういうものって自然と見つかるものだよ。」


「自然とねぇ…。」



俺に自然と見つかるまでの時間があるのだろうか

無理に探してもいいのは見つからないと思うけど….

それでも入院した時のことを考えたら居ても立っても居られない

ずっと寝っぱなしなんて絶対嫌だからな。




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